Freiheit IV (ページ14)

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目黒｢…終わったよ｣
宮舘『お疲れ。後処理はこっちでやっておくから、帰っておいで。迎えは寄越してる。ホテルの前』
目黒｢ん｣
今回の件に関して、ホテル側とも話はついていた。
だからこそ掃除のしやすい──カーペットが敷かれていない、窓側に鞄を置いていたのだ。
ホテルの前にいた岩本の運転する車に乗り、帰路につく。

岩本｢おつかれ｣
目黒｢疲れた｣
…本当、何であんなにも猫撫で声で喋れるのだろう。
自分でも不思議だ。あんな愛の欠片もない言葉を、容易く信じる女もいるのだから不思議でならない。

深澤『ねー、一緒にホテルの監視カメラ見てたんだけどさ。あの女普通にめめに惚れてなかった？』
目黒｢は？｣
佐久間『惚れてた惚れてたー！ほっぺた染まってたもん！ぜーったいめめに堕とされてたよ！』
目黒｢あんな嘘しかない言葉、よく信じたね｣
岩本｢そのまま惚れて何もしなけりゃ生き残れたのにな｣
目黒｢やめてよ。そんなの俺が気持ち悪い｣

向井『なに～！？めめ、俺にギュッてしね欲しいん？本命の俺にギュッてして欲しいん？』
目黒｢意味わかんねぇ、本命って何だよ｣
向井『めめの本命は、俺やろ？』
目黒｢ウザイ｣
佐久間『ちょっと康二！あの時私に本命だって言ってくれたのは嘘だって言うの！？』
目黒｢もうマジで面倒くさいからやめて。気持ち悪い｣

車内に揺られて、目黒はまた溜息をつく。
こういう仕事はあまり好きではないのだ。
あんな嘘しかない愛の言葉に頬を赤らめたりこちらを敬愛の目で見てきたりする女に、目黒は理解が出来ないのだ。
相も変わらず無線からは佐久間と向井のミニコントの声が聞こえてくる。
巻き込まれる前に眠ってしまおう。そう思って、目を閉じた。

岩本｢…目黒が愛情表現に慣れてないから、気持ち悪く感じるだけだよ｣
だから、岩本がそう言った言葉は、聞こえないフリをした。