Freiheit IV (ページ21)

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ラウール｢えっ｣
岩本｢1回振ってみな｣
ラウール｢う、うん…｣
言われた通り、1回振ってみる。まだ少し体が振られ、少し悔しくなる。
岩本｢人って、それぞれ合う武器があるんだよ。佐久間とかもあいつ、色々使えるように見えて長物武器になると遠心力に振られて全然使えないしな｣
ラウール｢じゃ、じゃあ僕は剣の才能はないの…？｣
岩本｢ない訳じゃない。でもラウールは、レイピアが1番扱えるし上手い｣

深澤｢多分俺がレイピア使って戦ったら、ラウールに負けちゃうよ｣
ラウール｢えっ？｣
深澤｢…ラウールがいっぱい練習してたから使えたものなんだっていうのも知ってるけど、それより前にラウールにはレイピアを巧みに扱える才能があった、って事｣
いつの間に持っていたのだろう。ラウールが置いていたレイピアを見て、しみじみと深澤が呟く。

深澤｢もうボロボロだね。…買いに行こっか｣
ラウール｢え？｣
岩本｢それ、元々武器庫に置いてたやつだろ。基礎用に、って｣
ラウール｢う、うん…でも一人前になるまで｣
深澤｢そういう事だよ｣

ラウールの今使っているレイピアは、元々S隊の武器庫にあったものだ。
初めはこれで練習して、一人前になったらラウールの為のレイピアを買ってあげる、と。
そう、拾ってもらった時に深澤に言われたのだ。

岩本｢シャワー浴びて着替えて30分後に玄関口集合でいい？｣
深澤｢いいよ｣
ラウール｢ね、ねぇ｣
岩本｢もっと自信もっていいんだぞ｣

突然の事にラウールは驚きを隠せなかった。
けれども、すぐにウキウキで支度を済ませ、岩本と深澤と共に街へ赴いた。