Freiheit IV (ページ17)

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阿部｢…｣
帰りたい。
Λ国に来てまだ24時間経ってない気がする。
それでもこう思ってしまったのはΛの内情というか、闇の部分を見てしまったからだろうか。

確かにΛの設備もいい。業績もいい方だろう。
けれどそれが全て無能な上司が有能な部下の仕事の結果も横取りし、且つミスすれば切り捨てる、というまあ何ともブラックな組織だった訳で。
しかもそれを来て早々感じてしまった訳で。
慣れない深緑の軍服と上司の不快な声をバックグラウンドにはぁ、と溜息を着く。
阿部(…大丈夫かなぁ、あいつら)

＊

阿部(…あー、帰りたい)
カレンダーを見ると1週間経っていた。されどこの1週間で眠った時間は10時間行くか行かないか。
今｢呪い｣を使うような事があったら間違いなく溺れるだろうなぁ、とぼんやり考えながらΛ国の何だか無駄に豪華な廊下を歩く。
何だか慌ただしい。しかし阿部にはその理由を考える分の余裕がなかった。

この半分徹夜続きの状況の中で、Λ国国王に呼ばれたのだ。
阿部(…どう返答をしようか)
断る為の理由を懸命に考えてみるが、いかんせん頭が回らない。
誰にもわからないような小さな溜め息をつき、Λ国国王の部屋へと入る。

阿部｢…帰還命令？｣
｢あぁ。どうも君に配属してもらおうと思っていた部隊の不正が発覚してねぇ…流石にその状態で配属は、とαの国王から｣
…もしかして、今朝の慌ただしさはそれだったのだろうか。
いかんせん、戻れるならそれでいい。

阿部｢かしこまりました。…1週間、貴重な経験をさせて頂き誠に感謝致します。これからもα国と友好な関係を築けるようよろしくお願い致します｣
とりあえず最後まで疲れを見せず、笑顔を貼り付けて。
阿部は国から来た迎えの車に乗り込み、1週間ぶりにS隊に戻ってきた。