Freiheit ��

＊ ページ30

初撃は避けられる。俊敏な動きで襲いかかる刺客に向井は必死に食らいつく。
初めから、消耗したところを狙うつもりだったのか。
向井｢…っ！？｣
何かスプレーのようなものを噴射され、向井はその場に倒れ込んだ。
フードとマスクで顔が見えないが、刺客はそれを見て笑っているのだろう、と何故かわかってしまった。

＊

目黒は隠し通路の1スペースで端末をいじっていた。
毎度毎度絡んでくる向井が鬱陶しい、何であそこまでベタベタ関わろうとしてくるのかが目黒には理解出来なかった。
ましてや、元々自分と似たような事をしていたというのに。

何だか基地内が騒がしい。
宮舘『…康二の通信が途絶えたんだけど』
渡辺『えっ、あいつどっか行ってた？』
宮舘『街の方に。でも何か路地裏入ったんだよな。こいつ。それで通信切れた』
渡辺『…それもしかしなくてもヤバいやつじゃないの？』
宮舘『基地内にいるのは…目黒と翔太だけか』
目黒｢は？何でそんだけしかいないの｣
思わずそんな声が出る。
だって今日は、阿部とラウールが外交に行ったのは聞いていたが後のメンバーは何もなかったはずだ。

宮舘『ふっかは上層部の緊急会議が入った、佐久間と照はトレーニングとか言って山岳地帯の方に行った』
目黒｢何やってんの…｣
宮舘『あ、通信一瞬戻った。…何か、東の方に行ったな、ここ、廃屋じゃない？…あ、切れた』
渡辺『ごめんめめ、ちょっと行ってきてくれない？俺今日非番だから銃メンテに出しちゃってて』
目黒｢はぁ？何で、｣
宮舘『というより非番の翔太出すより非番じゃない目黒が行く方が普通だろ』
あんな言い争いをした後だ、行く気持ちはあまり起こらなかった。
が、全くもってその通りだ。何も言い返せない。

目黒｢…あぁもう。わかったよ、東の方の廃屋？｣
宮舘『うん、位置情報データに送る。割と急ぎで、事件に巻き込まれてる可能性高いと思う』
目黒｢はぁ…｣
クソほど面倒な奴、なんて内心で思いながら、目黒は隠し通信から出た。

宮舘｢…こちら情報室、目黒向かったよ｣
渡辺『本当上手くやれたよね、今回は』
基地内で2人がそんな会話をしている事なぞつゆ知らず。

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