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藤桃の「兄」は「さいご」まで笑っていた。
戦火の中、気付くはずのない「弟」を庇った。ネックレスをつけたまま、「兄」として、庇った。
他人と自分との境界線が消えたような、存在が希薄になったような気持ち悪さに包まれた。
この痛みは、「身代わり」の悲痛な叫びなのだろうか。

翡翠の「弟」は「さいご」まで泣き叫んだ。
間際に、「兄」をフラッシュバックしたのか、ネックレスを外した彼は暴れて、飲まれて、溺れた。
その奔流に押し流されるような苦しさが、脳内を駆け巡った。
この苦しさは、忘れた「兄」への懺悔なのだろうか。

真紅は先にいく事を詫びていた。
しかし最後までその姿勢を崩さなかった。守れてよかった、確かに彼はそう言っていた。
それすらも作り物のように感じてしまうのは、きっとこの「重さ」の所為?
その刹那の彼は、とても苦しげだったという。

蒼碧は後を追う事に詫びていた。
無意識に依存していた事に、結局彼は気付いていなかった。守らなくてよかったのに、と彼は言っていた。
大事なものが流れ出ていくような喪失感に襲われた。否、背けていたそれに目を向けないといけなかった。
その刹那の彼は、とても安らかだったという。


わかっていた、わかっていたのだと。
彼は何回も叫んだ。
それでも受け入れるのは容易くない事も、彼はわかっていた。
2人残った基地内で、あの時みたいだとせせら笑う彼に、山吹は偽りの殺意を向けた。

さぁ、「最期」に、2人で踊ろうか。
「死の円舞曲」なんて上手くいったものだよな。
お互いの事なんて、お互いが1番よくわかっていた。
もう傷がつくようになった身体は、それでもかつての「戦友」に傷をつけていく。
終わるはずないと信じていた「日常」が、もう遠い昔のようだ、と。

さぁだから、終わらせてくれ、こんな「悪夢」を。
山吹は涙を目に貯めながら、ネックレスを外した。
もうお互い限界だった。
鏡合わせ──まるで双子のように、傷を受けた2人は、そのまま座り込む。

終わらせてくれ、これは「悪夢」だから。
身体の至る所を貫く痛みに喘ぎながら、仲間の重さにのたうちながら、彼はそれでもせせら笑う。
山吹は、その間際、彼の胸をその剣で貫いた。



…大丈夫。
わかっているんだ、全部、全部。

「ふっか!」

そして世界は暗転する。

*→←Rc07:■も■■■ない■■■■■■



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凌央(プロフ) - 湊都さん» とんでもないです!楽しみにしていますね! (2020年2月21日 16時) (レス) id: 0708d16a2f (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - 凌央さん» 誠に申し訳ございません…。31個目なのでリクエストお受けする事が出来ないです。けど、リクエスト内容と淩央様のお気持ちを加味して、他の方のリクエストの時に少し挟めるよう尽力致します。このような形で申し訳ございません。 (2020年2月20日 22時) (レス) id: 9124562c1c (このIDを非表示/違反報告)
凌央(プロフ) - はじめまして。更新お疲れ様です。初リクエストで緊張しています。可能でしたら、それぞれの入団試験話を読みたいです。是非よろしくお願いします。 (2020年2月20日 22時) (レス) id: 0708d16a2f (このIDを非表示/違反報告)
ささ(プロフ) - はじめまして。いつも更新を楽しみにしています。リクエスト可能でしたら、S隊みんなで野外訓練しつつキャンプを楽しむような話が読んでみたいです。よろしくお願い致します。 (2020年2月20日 21時) (レス) id: da0f7ba994 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 文字数関係で連投になってしまい申し訳ありません。無理でしたらもちろんスルーして構いません。お忙しいと思いますがよろしくお願い致します。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 4ea8c2cdf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:湊都 | 作成日時:2020年2月13日 9時

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