Freiheit ��

＊ ページ13

岩本が医務室で眠る、というのは片手の指に入るほどだ。
｢呪い｣の所為故に、医務室にお世話になる回数はぶっちぎって高いが、岩本は自分の限界をわかった上で攻撃を受ける。
即ち、倒れる！目を覚ます！医務室！…なんて事は滅多にない。

そんな岩本が今回阿部と同率1位で重傷だというのだから、メンバーは騒然とした。
岩本｢…わりぃ｣
深澤｢本当だよ、普段無茶するな、って俺の事止めるくせに。照が無茶してどうすんの｣
岩本｢悪いとは思ってるよ｣

そこでふと、自分の首にネックレスがある事に気付いた岩本は、あれ、とそのまま言葉に出す。
岩本｢ラウール、大丈夫だったんだ｣
深澤｢うん。…てか、ラウール、そこいるんでしょ｣
医務室の前で立ち往生していたらしい、申し訳なさそうな顔をしたラウールがドアから顔を覗かせた。

深澤｢ほら｣
ラウール｢…ごめんなさい｣
岩本｢大丈夫？怪我してない？傷つけないようにしてたけど、｣
ラウール｢……｣
岩本｢…ラウール？｣
深澤｢何かさ、俺たちの事で唆されたみたいで。それに従っちゃった自分が許せないって｣
ラウールはずっと下を向いていた。

岩本｢…ラウール、顔上げて｣
ラウール｢…｣
岩本｢あのさ、俺はラウールがそんな顔してるの、嫌だよ。お前に武器向けられるより嫌｣
ラウール｢でも｣
岩本｢だから本当に反省してるなら、笑ってろ。…怪我してる時に悲しそうな顔なんて見たくねぇよ｣
本音だ。後半は照れ隠しも入れたが、大怪我をした時にそんな顔見たくない。
ましてや、大事な末っ子のなんて、

ラウール｢…うん｣
深澤｢結局あの組織の長は掴めなかった、暫くは注意が必要だし、ラウールもそうだけど、全員外に出る時は誰かと一緒に出かけるようにしよう｣
岩本｢何かあったら俺が何とかしてやるよ｣
ラウール｢…頭突きで？｣
深澤｢えっ、ラウール照の頭突き食らったの？大丈夫？痛いでしょあいつの頭突き｣

こういう時普通の話にやんわりとシフトチェンジしてくれる深澤には頭が上がらない。
ラウールが医務室を出た後、案の定深澤に頭を叩かれ、小一時間ほど｢俺がどれだけ心配したか｣というのを永遠に話された。

岩本｢そんなの言わなくてもわかってるよ馬鹿｣

しかし阿部は聞いていた。
深澤が出ていった後に、岩本がそうボヤいているのを。
結局どっちも素直じゃないよなぁ、と思いながら。
さて、自分は何をしていたのか、と思考を働かせていたという。

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