第九話 買い物 ページ10
..
機械音が部屋に響く。
久しぶりの柔らかい感触と暖かい布団。朧げな思考でも部屋に響いた乾燥機の音にもう乾燥が終わったのか。と絨毯に足をつけ取りに行った。
部屋を出る支度をする。この後の予定は主に買い物だ。買い物をしてまたあの塒へと戻る。この町で宿はとりたくないと思ったからだ。
わざわざ夜中に部屋に忍び込むための通路があるホテルになど泊まりたいと思う客はいるのだろうか。物好きしかいないだろう。
「服は、んー....長袖にパーカに長ズボンに靴でいいかな。フード被ればまぁいいか。」
個室のドアを開き一階に降りてホテルから出た。行きたい店はあまりないので時間の心配はなさそうだ。
(さて、市場と薬屋はどこかな)
大通りを使い雑踏した場所を目指して歩く。市場へと着けば欲しい物は粗方揃うだろう。
周囲に注意を促しながら十数分歩けば比較的人が多くいた。多くは町の近くの人間だろうが中には荷物を持った旅行者も居た。
その中でも特に目を引いた物がいた。
街の人間でも旅行者でもないその男の雰囲気に興味が湧き一瞥すると僅かに殺気が出ており、周囲の人間を観察していた。
丁度、男の前を子供が通った。男の様子を窺うとすぐに子供は逃げ出した。殺気に気付いたのか、或いは見知った顔だったのだろう。
男は路地裏へと踵を向け姿を消した。
すると、その路地へ青年がゴミバケツを持って入り数秒後にバケツを地面に落とした音とともに青年の気が大きく乱れ、静かになった。
なるほど、迅速な行動だ。青年が路地へ入った瞬間に一人が口を塞ぎもう一人が意識を落とさせる。
「ふむ....人攫いがこうも堂々といるとは」
鞄からフード付きコートを出し羽織った。
市場で食料などを買い漁り次々に鞄へと詰めていく。日が暮れる前に塒へと帰りたい。と薬屋も見つけ必要な物はすべて揃った。
予定よりも早く終わり、水菓子を数個買い紙袋へ入れてもらい手に持った。さすがに手ぶらだと違和感を覚えたからだ。
しゃりっ、買ったばかりの一つを齧りながら街を散策する。
この町は変わっている。大通りを歩く人間気配よりも裏通り、裏路地などの人間の数が多いのだ。
裏路地の向こうにも人が住んでいる気配がしており大通りよりも数が多く、荒々しい。
しゃりっ、
「....行ってみるかな」
息遣いや気配だけわかっても仕方がないし、何より数人の気配に興味があった。彼方側の街も気になるし、何より時間が余ってしまいすることが無い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 612人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高校生(プロフ) - 皆様、現在日本に台風が接近していますが怪我の無いように気を付けてお過ごしください (2016年8月29日 7時) (
レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - フィンクスloveさん» ありがとうございます (2016年7月7日 12時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
フィンクスlove - とても面白くて大好きです！！更新頑張ってください！！(*´ `*) (2016年6月29日 18時) (レス) id: 8375edd26c (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - シロさん» ありがとうございます (2016年6月22日 23時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
シロ - 更新頑張って下さい！楽しみに待ってます！ (2016年6月14日 20時) (レス) id: 6ce3e8c171 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：高校生 | 作成日時：2015年11月22日 22時
