第二十五話 競争 ページ27
..
廃墟に着くとAとマチを除く皆が興味深そうに中を窺っていた。先ほどから何故か静かにしていたフェイタンとフィンクスも中を覗き込み今にも動き出しそうであった。
「はい。それじゃぁ、奥の部屋から外に向かって物を運び出しましょうか」
物があると埃が掃けないからね。と言うと、フェイタンとフィンクスが楽しそうな表情をして駆け足で奥の部屋へと向かった。
どっちが速く物を多く運べるか競争してるんだよ。とマチが僅かに厭きれた表情をしながら言うと皆同じような表情をしていた。
Aも物を運ぶために足を進め、ある程度物が少なくなった所へ外から騒がしい声が聞こえた。
「んー？どうかしたの」
「フィンクスとフェイタンがまた何か言いあっているらしいわ、A」
「外にゴミの山積んで睨み合ってる」
「おぉ、ありがとう。パク、フランクリン。見に行ってみるわ」
建物の入り口へと足を進めて行くと、クロロが階段に座っており近くでマチが厭きれた様に睨み合う二人を見ていた。
睨み合っているのは当然フェイタンとフィンクスであり、それぞれの後ろには運び出したであろう家具やゴミが山となっていた。
これだけの量が外にあるのなら、建物に残っている不用品も残り僅かなのでは、とAが思考したところで睨み合っていた二人がAが自分たちを見ていることに気が付き傍に駆け寄って来た。
「A！不用品出した量一番多いのワタシねっ」
「何言ってんだよ！量が一番多いのはオレだっ」
ワタシだ。オレだ。とAに繰り返し言う二人組。厭きれる様な光景ではあるが、Aからすれば言い合う二人も可愛らしいと思えてしまうのだ。
どちらとも引く様子は無くひたすらムキに言い張る光景がAにとってはとてつもなく癒される光景であったのだ。
「はいはい。ほら、落ち着いて。二人ともすごいわ、こんなに沢山運べるなんて。フェイタンとフィンクスの御蔭で早く終わりそう。ありがとう、二人とも。」
言い争う二人を宥めながら褒めていくと、だんだんと大人しくなりAが二人の頭を撫でると相変わらず、照れた様子で二人ともその手を甘受していた。
「……今回だけよ」
「……、あぁ。次は決着付けてやる」
お互いに目を逸らしながら二人だけで会話をし、後は無言であった。近くにいるAはそんな二人の様子を見て恍惚感でいっぱいになるのを感じていた。
「さっ、次は掃き掃除と水回りの掃除をしましょうか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 612人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高校生(プロフ) - 皆様、現在日本に台風が接近していますが怪我の無いように気を付けてお過ごしください (2016年8月29日 7時) (
レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - フィンクスloveさん» ありがとうございます (2016年7月7日 12時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
フィンクスlove - とても面白くて大好きです！！更新頑張ってください！！(*´ `*) (2016年6月29日 18時) (レス) id: 8375edd26c (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - シロさん» ありがとうございます (2016年6月22日 23時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
シロ - 更新頑張って下さい！楽しみに待ってます！ (2016年6月14日 20時) (レス) id: 6ce3e8c171 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：高校生 | 作成日時：2015年11月22日 22時
