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第十六話 気配 ページ18

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薄暗い廃墟仄かに香る消毒液と薬品の匂い。

治療中に充満していた血液の匂いは窓硝子の無い廃墟に吹き込む風に流されていった。




最後の子供の手当てを終えたところで、廃墟の外の気配を探る。数人の人間が同じ通りを徘徊しているのだ。こちらに用があるのか、ただ暇を潰しているだけか。

そう思考していると子供たちから視線が寄越され首を傾げた。


「どうかした?傷が酷く痛むなら教えて」

「いや、……なんで俺達を治療したんだ?金なんてねえよ」


此方の目を見て少し言いにくそうに発せられた予想外の少年の言葉に目を丸くした。他の子供の顔色を窺うも、皆同じ疑問を持っているようだった。


「や、見知った子達だったし……まぁ、笑って見てる人間が気に食わなかったっていうのもあるけど、」


懸命に生きる君たちを助けたい、って思ったからかな。と言うと僅かに動揺したような雰囲気が伝わり、それぞれの目を見ると目を瞠り少しの間揺れていた。

今は疲労により眠りについている少年の目は毅然としており生きることに懸命に努力する光の強い目だった。今、目の前にいる子供達も少年と同じような光を持っている。

この目の生きる意志に魅かれたというのもある。

この子供たちの光を失わせるわけにはいかない。と少年を治療するときに思ったのだった。


「……変わた奴ね。何故、一度物を盗ろうとした人間助けるか。」

「物を盗るのはここでは当然のことだろう?あれくらいのことは特に気にしないから」

「……。」


答えれば無言になる少年。他人の親切な行為などに皆慣れていないのだろうと思う。随分、思考が違う。


「……、ここら辺はこの時間歩き回る人間が多いのか?」

「……、いないよ。それがどうかしたの?」


いや、と言って神経を集中させる。

この世界に来てからは気配に敏感なのでこういった時にとても役に立っている。

同じ人間が何度もこの建物近くを徘徊しているとか、数人この廃墟を窺う人間が出てきた。とかね。

廃墟の周囲に数人人間がいることを伝えると僅かに顔を顰めるものばかりだった。

どうやら、この前店から盗んだ食料目当ての確率が多いらしい。

確かに、店へ泥棒に行くものはリスクが大きく少ないが、人間から奪うのは容易いだろう。まして、子供だけだと分かると余計に。


「俺がかたずけて来てやる」

「わざわざ行く必要ないね。来たら倒せばいい話よ」



(……今日はあの負傷した少年を動かしたくないんだよなぁ。)

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高校生(プロフ) - 皆様、現在日本に台風が接近していますが怪我の無いように気を付けてお過ごしください (2016年8月29日 7時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - フィンクスloveさん» ありがとうございます (2016年7月7日 12時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
フィンクスlove - とても面白くて大好きです!!更新頑張ってください!!(*´ `*) (2016年6月29日 18時) (レス) id: 8375edd26c (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - シロさん» ありがとうございます (2016年6月22日 23時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
シロ - 更新頑張って下さい!楽しみに待ってます! (2016年6月14日 20時) (レス) id: 6ce3e8c171 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高校生 | 作成日時:2015年11月22日 22時

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