第十四話 診察 ページ15
..
裏路地の奥にある小さな廃墟の中で小さい複数の気配と、酷く衰弱した弱い気配が一つ。
この世界に来て一番早く走った日だった。
“どうしよう！さっきより熱が上がってるっ”
“しっかりしてっ”
今にも崩れそうな廃墟から、酷く狼狽した気が複数窺えた。
近づくにつれ、少年と少女の動揺した声が聞こえ負傷者の容体が良くないことに顔を顰めた。
今、行くからな。と片足に力を入れ廃墟へと飛んだ。
廃墟の中では、どうにかして倒れた少年を助けようとしていたが、生憎傷口が熱を持ち少年は高熱を出していた。
傍にいる少女が必死に水に濡れた布で少年の汗を拭くが回復には繋がらなかった。
「医者は居なかったのかよっ！？」
「居たとしても診てくれるわけないね」
「っ……」
声を荒げた少年は焦りからか、強く拳を握った手からは血が滲んでいた。
もう、助からないのかもしれない。そんな思考が仲間内で浮かんで来ていたその時――、
ガンッ!!、ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ....
「…まだ生きてる？うん。息はしてるね」
生きてるならよし。さて、治療しようか。と、突然硝子の無い廃墟の窓から人が降ってきた。
目を見開き呆然としている子供達は、負傷した仲間に近づき容体を診る人間を見て動けずにいた。
誰だ、何で、敵か、味方か、子供達の思考を埋め尽くす大量の言葉。
その人間の手が負傷した仲間に触れ何かを呟いている様子に子供達は動揺しながらも言葉を発することができた。
「誰だっ！？そいつに触るんじゃねェ！」
「こら、動かさないで。出血が激しいから、下手したらこの少年助からなくなっちゃうよ」
ぴしゃり、と放った言葉に子供たちは凍り付いた。
声を荒げた少年も、ナイフを持った少年も、近くにいる少女も奥にいる数人の子供達も。皆、不安と困惑と焦りが表情に出ていた。
よし、静かになったな。と心の中で思い負傷した少年の傷口を改めて診察する。
横腹に弾丸が一発。足に深い切り傷。浅い傷が複数、か。横腹の傷口から雑菌が入り込み傷口に熱を持っていた。
(このまま放って置いたら、出血死か高熱でアウトか。あぁ、雑菌の感染による壊死という可能性もあるな)
子供でこの傷か、二日も持つなんて生命力高いねぇ。と呟きながら近くにいる少女に片手鍋を差し出す。
「これに水を入れてきて、お湯にするから。」
「……わかった」
相槌を打った少女の頭を軽く撫でると少女は目を瞠り、片手鍋を受け取って小走りに走って行った。
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高校生(プロフ) - 皆様、現在日本に台風が接近していますが怪我の無いように気を付けてお過ごしください (2016年8月29日 7時) (
レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - フィンクスloveさん» ありがとうございます (2016年7月7日 12時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
フィンクスlove - とても面白くて大好きです！！更新頑張ってください！！(*´ `*) (2016年6月29日 18時) (レス) id: 8375edd26c (このIDを非表示/違反報告)
高校生(プロフ) - シロさん» ありがとうございます (2016年6月22日 23時) (レス) id: ba05ed8226 (このIDを非表示/違反報告)
シロ - 更新頑張って下さい！楽しみに待ってます！ (2016年6月14日 20時) (レス) id: 6ce3e8c171 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高校生 | 作成日時：2015年11月22日 22時
