【そらる】ただの社会人と歌い手のあなた【歌い手】

4つ目 ページ6

それから彼女からいろんな話を聞いた

歌い手さんの素晴らしさ、いくつもの声に表情を変える歌、その中で彼女が最も尊敬すること

でも私が1番食いついたのはやっぱり…

そらるさんの幼馴染の話

初めてその話を聞いた時は、何かが引っかかる
それだけだったのに
だんだんもやもやに変わってきて
なにか確信を得ないと納得がいかなかった

自分でもそらるさんの放送を見返したりしたが、録画に残るものじゃあまり幼馴染の話をしないらしい

｢この前のライブの時はね、まふくんが｢今日はいますかね、そらるさんの想い人！｣なんて言い方するから会場ざわついちゃったんだよ〜｣

周りからしたら［楽しそうだね］、となる会話も
今の私からしたら一言一句聞き逃せない

ここまで必死になるのも変な話なのだろうけど
ここまで気になるんだったら、私は知りたい
昔遊んだお兄ちゃんのことを
そしてそのお兄ちゃんがそらるさんなのかを

｢ねぇ、そういえばAちゃんってさ｣

またぼーっと考えてる時、彼女がこちらの顔を覗いて話しかけてきた

｢えっ、な、なに？｣

近づいてきた顔に多少驚きつつも、覗いてきた彼女の顔を見つめて返事をする

｢最近楽しそうだよね！
なんか、推理を楽しむ子供みたいな顔してる！｣

そう言われれば｢へ…？｣と、すっとんきょんな顔になった
自分は愛想が悪い方で、笑うことも苦手で相手に合わせるのがダメな方

そんなことを言われるのは、前回同様初めてだった

そんな私に、彼女は話し続けてくれた
最近の私のこと、コロコロと変わる表情、時々見せる難しそうな顔と悲しそうな顔
そして彼女は手をとって言ってくれた

｢あのね、もしもAちゃんがどーーーーしても解決できないことがあって困った時は私を頼ってもいいから！｣

今までそんなことを言われたことない私は思わず｢どうしてそんなこと言ってくれるの…？｣と、声に出してしまった
あまりにも失礼で、怒られかねない
そう思ったのに

｢だって！こんな歳で言うのも恥ずかしいけどさ…
私たちもう友達じゃん！｣

照れくさそうにそう言ってくれた彼女に温かさを感じた
［友達］…何年ぶりだろう…


｢…ありがとう｣

ぶっきらぼうな声で、お礼を言った

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