【Free!】Crystal Clear ～2～ (ページ23)

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第７３話ページ23

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彼の家は、街から少し歩いた場所にあるマンションだった。

特別大きくなく、彼の住んでいる階まで階段で行けるほどの高さのものだった。

「いきなり来て、お邪魔にならない？」

「ここに来て今更だろ。それに、俺の母さんそういうの気にしない人だし大丈夫」

そう言うと、遼太郎はジーンズのポケットから鍵を取り出し、鍵穴に入れる。

ガチャッという音がすれば、中からドタドタという足音が聞こえてきた。

「ただいまー」

「おにいちゃんおかえりー！」

「亜美！ごめんなー、遅くなって」

ドアを開ければ、遼太郎は持っていた袋を置き、出てきた１人の女の子を抱きしめた。

お下げの似合う、小さな女の子。

その子は、その場に突っ立っている私を見ると、指をさして遼太郎に尋ねた。

「おにいちゃんのかのじょー？」

「ち、違うから。ママは帰ってきたか？」

「まま、いまおふろ！」

(妹がいたんだ……)

ここで今、私は彼が家の事を全く話していなかったのだと知った。

彼は私の事を沢山知っているのに、私は彼の事を全く知らなかったのだと思い知った。