~ 抹茶フラペチーノ ~ Hokuto.M

16杯目 ページ16

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『さっきの人って誰…？』



精一杯の勇気で一番聞きたかったことを口にする。



北「さっきのって、愛さんのこと？」



コクンと一つ首を縦に振る。



北「兄貴の奥さん」



『え？』



北「ちなみに、もうすぐママになる」



『え、えぇ？』



てっきり、北斗くんの彼女さんだと思っていた私はいきなりのことで驚きの声があふれ出す。



北「そんな驚くこと？(笑)」



『てっきり…彼女さんかと。』



北「まさか」


そうつぶやいた北斗くんの笑顔に違和感。


そんな顔見たことない。


そこで、樹くんが言っていた言葉を思い出す。



樹「あいつのこと“面倒だとも思うけど”よろしく頼みたいな」



何が面倒なのかもわからなかったけど、



もしかしたら。


『北斗くん、愛さんのこと好きなんじゃない…？』



すると、一瞬。一瞬だけ北斗くんは目を見開いた。



そして、フッと笑みを漏らした。




北「そんな気持ち、当の昔に捨てたよ。」




ただ、ふと思うことはあるけどね。




“あぁ、俺だって彼女を笑顔にできたはずなのに。”ってね。




なんで兄貴は、産婦人科にも連れていかないわけ？




愛「仕事が忙しいんだから、しょうがないんだよ。」




そう言う寂しい顔を見たら、少しでも力になりたいとすら思っちゃう。


もちろん、いつまでもついて行っちゃう俺もどうかしてるってわかってるよ。




終いには、もうやめよう。って決めた途端ついてきてほしいとか言うし。




と呟く北斗くんの言葉なんて耳に入らない。







彼にこんな顔をさせるあの人がうらやましい。



こんなに愛してくれてる人の思いを受け取らずに、その優しさだけにつけ込む彼女がうらやましい。



そんな想いが頭の中を駆け巡る。


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