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私は 震える手で近くに転がっていたナイフをつかみ、男の皮膚に切れ目を入れていく。
お前のせいで
お前のせいで
お前のせいで。
ジョーは死んだ。
ナイフを入れるたび、赤い液体が飛び散った。
ジョーの赤とは違って見えた。
汚い。
正直、触っていたくなかった。それでも手は、ナイフを動かす手は止まってくれない。
憎い、憎い?憎い。
いまの私は それしか考えられなかった。
ジョーの亡骸を抱きしめながら、じっくりじっくり殺していく。
男のうめき声がする。耳障りだ。
喉笛を切り裂いてやると、静かになり、上下していた体も動かなくなった。
それを理解してもなお、手は止まらない。
最後に、心臓に穴を開けてやろうとナイフをふりおろそうとした、その時だった。
ジョーの手がナイフを持っている手を包んだ。
「もういいよ」
その言葉を最後に、ジョーは本当に動かなくなった。暖かみも徐々に無くなっていく。
はっと我に返った。こんなことをしても、誰のためにもならないじゃないか。
『ごめん、ごめん…ジョー……』
どれだけ涙を流しても、どれだけ後悔しても、もう帰ってこない。
あの平穏な日常は、もう。
二度と。
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握り飯(プロフ) - 耳です。さん» コメントありがとうございますー!キミガシネ最高におもしろいですよね…!続きが楽しみです!更新頑張りますね! (2018年2月26日 23時) (レス) id: e551abcd15 (このIDを非表示/違反報告)
耳です。 - キミガシネ、面白いですよね!最新頑張って下さい! (2018年2月26日 23時) (レス) id: 0de9ee32ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:握り飯 | 作成日時:2018年2月24日 0時