story291 名家連続変死事件46 ページ48
Aside
「嘘よ!幸さんは昔、秀臣さんに命を助けられたのよ。そんな人に罪を着せる訳ないじゃない?証拠もないのにいい加減な事を言わないでよ!」
その時、蘭ちゃんが泣きながら私達にそう言ってきた
あの表情を見ると完全に日向さんに同情している事が分かるわね...
もちろん...彼女がやったと言う証拠だってある
『......蘭ちゃん、日向さんを信じたい気持ちは分かるけど彼女以外で犯行できる人はいないのよ。それに日向さんが光明さんを殺害した証拠があるわ。それより日向さん、今、何時か分かりますか?』
「えっ...?」
「ちょっと...何言ってるんですか、Aさん?」
「おや?腕時計はどうしました?」←小五郎の声
「あ、あの...ですから今日はたまたま...」
私は蘭ちゃんの方を見ながら物静かな声で日向さんを信じたい気持ちは分かるが、彼女以外で犯行できる人はいない事と光明さんを殺害した証拠があると伝えた後、日向さんの方を見ながら今は何時かと再び物静かな声で問いかけると日向さんは驚いており、蘭ちゃんから何を言ってるのと言われるも無視した
その後、新一君が腕時計はどうしたのかと日向さんに問いかけると日向さんが動揺しながら今日はたまたましていないと答えた為、私は静かに目を細める
『日向さん、それは違いますよね?貴女は忘れたんじゃない。着けられない状態なんですよね?だって時計のベルトは光明さんに掴まれた衝撃で壊されてしまったんだから......光明さんをベランダから突き落とした時に時計のベルトを掴まれた事が予想外だったんでしょう。このまま引きちぎられたら現場に時計が落ちて自分が犯人だとバレてしまう......焦った貴女は身に付けていたある物で光明さんの右手の甲を刺した』
「ある物って...ま、まさか!?万年筆?」
私は物静かな声で日向さんの方を見ながら腕時計は忘れたのではなく着けられない事、腕時計のベルトは光明さんに掴まれた衝撃で壊された事、身に付けていたある物で光明さんの右手の甲を刺した事を伝えると日向さんは図星だったらしく顔を青ざめていた
目暮警部はある物と聞いてまさかとは言わんばかりの表情で日向さんの上着のポケットに入っている焼け焦げた万年筆を見ていた為、萩原さん達も同じ様に焼け焦げた万年筆を見ている
「なるほど...だから光明さんの右手の甲の傷と腕の傷が違ってたのか」
「しかし、万年筆で右手の甲を突き刺したとは誰も気づかない」
萩原さんと伊達さんが口々にそう言っている
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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2018年7月3日 12時