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story223 ピアノソナタ『月光』殺人事件55 ページ29

Aside

『当たり前じゃない...それに月影島で人に話を聞いてる時、成実さんの名前がいっぱい出てきたわ。いいお医者さんだって言ってたもの。私は色んな人を殺した血塗れの手を持つけど貴方は全く違うわ。その手はまだたくさん人を救えるのよ?だから、そう簡単に死んではいけないわ...それに誰が何と言おうと成実さんの手は綺麗よ。その心を持つ限り、私から見れば永遠にキラキラと輝いて見えるわね(微笑』

成実さんの問いかけに私は月影島の出来事を思い出しながら物静かな声でそう答えた後、成実さんの方を見ながら優しく微笑んだ
まっすぐと成実さんの顔を見ながら...
私の言葉を聞いて成実さんは少しの沈黙の後、ポロポロと涙を溢す
その涙は...まるで誰かに心底、詫びる様に見えた
彼はきっと生きてくれるわね...その涙こそが全ての答えだもの
私はフワリと優雅に微笑みながら成実先生の頭を撫でた

ちょっとこの小屋に長く居座りすぎたかしら...?
誰もいないかチラッと外を見て確認をするが新一君達はまだ来ていなかった為、一安心した
でもここにはあまり長くいられないわね...
あれから1時間後、成実さんもだいぶ落ち着いた様子だった

『大丈夫?そろそろコナン君達も来そうだからね。一応、着替えも持ってきたからこれに着替えて欲しいわ』

私は物静かな声で問いかけながらもペットボトルの水を成実さんに手渡しした後、大きな鞄の中に入れていた男物の服も用意した
さっきまで泣くと言う感情を捨てていた私も成実さんのおかげで思いっきり泣く事ができた
その後、泣いたおかげなのか気持ちがスッキリしたわ
そもそも私達って取り乱ししすぎてたわね...罪深い事をする覚悟はしてたはずなんだけど(苦笑
まあ、私も黒の組織の一員であり、夜は大怪盗として活動しているからか少しは平気だ

「あぁ...Aちゃんのおかけで何とかなった。Aちゃん。俺、生きるよ」

『私が命がけで助けたのよ?そうしてくれないと困るわ』

「...そうだな」

私の問いかけに成実さんは目が少々、赤いけど何処か吹っ切れた様子で頷きながら生きると答えた為、私は静かに微笑みながら命がけで助けたのだからそうしてくれないと困ると言うと成実さんも頷いている
その後、私達は顔を見合わせながら笑った
こんなに笑ったのはマサチューセッツ工科大学に在籍していた頃以来だわ...
あっ、それより...これを渡さなくては!

『あっ、それとこれも忘れずにね?』

私は用意した男物の服を成実さんに渡す

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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2018年6月16日 2時

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