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story172 ピアノソナタ『月光』殺人事件3 ページ26

Aside

「ええ?もっとよく調べて下さいよ!現にこうして依頼する手紙を貰っているんですから」

「ああ。しかし...この島の住民名簿には載ってませんし...それに私、先月この島に来たばかりで」

小五郎さんが依頼人からの手紙がきたからよく調べる様にと言うも若い職員はこの島に来たばかりで詳しくは分からないと言っていた
どうやらこの人はこの島に来たばかりの新人さんって訳ね...

「おい、どうした?ん?」

その時、中年の男性が若い職員にどうかしたのかと声をかけながら若い職員に近づく
服装から見て、この人も村役場の職員だと分かる

「あ、いえ...こちらがこの島の住民から依頼を受けて来たとおっしゃるんですが」

「依頼?」

若い職員が中年男性に住人から依頼を受けて来た事を話すと中年男性は依頼と聞いて不思議そうな顔をする

「ええ。麻生 圭二さんと言う方なんですが」

「あ、麻生 圭二だって!?」

若い職員が依頼人の名前が麻生 圭二と聞いた途端、中年男性は驚いた表情しながら大声で叫んだ時、他の職員だけではなく村役場に来ていた月影島の住人達もその名前を聞いてざわつき始める
.........あの様子だと彼等はどうやら訳ありみたいね

「そ、そんなはずはありません...何故なら彼は10年以上前に亡くなっているんですから」

中年男性は顔を青ざめながら麻生さんは10年以上前に亡くなったと話した途端、小五郎さん達は驚きを隠せないでいる一方、私は知っていた為、全く驚く事もなく静かに目を細める

「あれは確か、12年前の満月の夜でした...この島の出身で有名なピアニストだった彼が村の公民館で演奏会をやった後、突然、家族を連れて家に閉じこもり、家に火を放ったのです。助けに行った人の話では彼は妻と娘を刃物で惨殺した後、燃え盛る炎の中で何かに取りつかれた様に何度も同じ曲を弾き続けていたそうです。世界的に有名なピアニストで彼の師でもあった霧ヶ谷 景子から教えられたベートーヴェンのピアノソナタ『月光』を...」

そして中年男性が私達にポツリポツリと詳しく話してくれた
話を聞いた小五郎さんと蘭ちゃんは顔を青ざめているのが分かる
その後、私達は村役場の外に出た

「ったく、たちの悪い悪戯だぜ...」

「そうとは限らないんじゃない?だって依頼料はちゃんと振り込まれたんでしょ?」

小五郎さんは依頼の紙を見ながらそう言うと新一君はそうとは限らない事や依頼料はちゃんと口座に振り込まれていた事を問いかければ小五郎さんは頷いた

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作者名:黒羽明菜 | 作成日時:2018年5月23日 20時

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