雷氷炎のタレント少女 (ページ16)

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「トネル、あんたその怪我どうしたの！？」

夏服の制服から見える包帯。彼女は治癒力も
人一倍高いのだ。あれだけ腕を打たれても次の日には骨がくっついている。

『怪人に襲われちゃって』

すると教室の端の方から聞こえてくる話し声。

「プリズナーとジェノス、
フラースが戦闘不能だってよ」

「でもまぁ、フラース達がいたから怪人も倒せたもんな！」

サイタマが深海王を倒したのは事実だ。
しかし、彼女は手も足も出なかった。

＿＿悔しい

そんな胸のつっかえは学校が終わっても取れなかった。

家に帰り制服のまま布団の中に潜り込む。
制服につくシワなど今は考える暇もない。

『……弱い自分なんて……』

そのまま目を閉じ深い闇の中へと意識をやった。

＿＿フラースは負けた

＿＿ヒーローに向いてない

＿＿ヒーロー辞めろ

＿辞めろ

＿辞めろ

辞めろ！！！！

「……！トネル……！！」

『イ、サム……君？』

目を開ければそこに居たのは童帝。
目を開けようとしても何故か腫れぼったい。
恐らく、寝ながら泣いていたようだった。

「良かった…。うなされてたから」

『イサム君…私ヒーローやってていいのかな』

いきなりな消極的な発言に童帝は「どうしたの？」とトネルのベットに腰を下ろした。

『私は深海王に負けた。市民を守れなかった…。そんな私がヒーローなんて…』

ベットの上で膝を曲げて座ると頭を膝と膝の間につけた。
そんな姿を見て、童帝は「はぁ」とため息をつき、トネルの手の上に自身の手を重ねた。

「怖い夢見た？」

その問いにこくりと頷いた。

『皆が私をヒーローとして求めてなくて…
そんな夢……』

「今のトネルには何言っても意味ないよね…そうだ！」

そう言うと童帝はトネルの事を両手で抱きしめた。