7【口は災いの元】 ページ7
小学生に襲われています。
語弊がありました、すみません。
「おかえり、待ってたで」
定時に上がれてルンルン気分で帰宅した私を出迎えたのは、全く知らない男の声だった。少し高め、でも鬱よりは低い。よく通る、声優に居そうな透明な声。
普通の人間ならもうこの時点で罵詈を叫んで110番通報でもするのだろうが、毎日のように不法侵入されている私のリアクションはワンテンポ遅れる。怖いもの見たさにも似た変な好奇心に突き動かされるまま、長い廊下を進んでいく。
進んだ先のリビングに居たのは、橙色の着物に身を包んだ小柄な小学生。
後から考えればがっしりとした体格や雰囲気で小学生ではなく立派な大人だと恐らく初見でも分かったのだろうが、定時上がりという魔法にかかった私はある種の盲目で、自ら地雷に突っ込んでしまった。
「何で小学生がこんな所に居るの？」
ブチ、と音がした。私が発した音ではない。
自分より遥かに低い場所にある身体が震えていた。心なしか顔も赤い。袖がいっそ大袈裟ともとれるくらいに揺れていた。雑面が歪んだ。
鞄を叩き落とされ、スーツの袖を引っ張られてその場に倒れ込む。この状況であれば押し倒された、と表記するのが正しいか。フローリングの床に頭を強く打ち付けた所為で、一瞬脳がぐわんと駄目な方向に揺れた。
「誰が小学生じゃクソ女！阿呆！」
「痛っ痛たたたたやめてください揺らすな揺らすな」
「えっ、あっ、ごめんなさい」
彼は困ったように謝る素振りを見せたものの、肩を床に押し付けている力は弱まっていなかった。寧ろ先程より強くなっている気もする。がり、と肩に食い込んだ布越しの指が痛かった。
離して、と言ったが何か耳に詰まっているのか彼は反応を返さない。聞こえていない振りだろうか、だとしたら結構イラッと来る。もしそうなったら膝で股間を────と思った所で、そいつは動いた。動いたといっても、つんつんと私の腹の上の辺りを突いただけだが。
暫くそこを突き続けられ、私の視界が彼で埋まる。
「え、なに、なんですか」
気色悪さの方が勝ってそう聞くと、小学生にしては雰囲気がありすぎるソイツが漸く私の方を見て、楽しそうに答えた。それはまるで、お菓子を与えられて喜ぶ小学生とは全く違った色気のある微笑で。って、何で雑面越しの表情が分かるんだ私。その疑問を私が持つ前に、退路を塞ぐように彼は嗤う。
「相当解さんと、入り切らんなあって思って」
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まも。 - 語彙力が半端ない…好きすぎる。 (3月16日 18時) (
レス) @page20 id: f3d61cfa83 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - やばい…osmnが色気爆発し過ぎてて死ぬ…更新楽しみにしてます！ (2023年2月15日 21時) (レス) @page32 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 更新再会っ！頑張ってください！ (2022年8月20日 14時) (レス) @page32 id: c39d7e026e (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - お久しぶりです！この作品本当に大好きです。osさんっっと悶えてました。新作もすごく面白かったです！これからも応援しています！ (2022年2月23日 18時) (レス) @page32 id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - 過去最高1位おめでとうございます！！前からでしたらすいません。気づいたので書き込ませていただきました。 (2021年9月12日 19時) (レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
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