21【嫉妬から始まれない】 ページ21
大先生。
大先生って。
「大先生って、え、鬱？」
何の用意もなしにそう言ったのが間違いだった。
ぎらりと目を光らせたショッピ君が、恐ろしい形相で「は？」と低く地を這うような声を出した。聞いた事のないノイズを思わせる低音に身が竦む。
ぼんやり光るラベンダー。それに何処か見覚えがあって、本能的な恐怖に動かされるように壁に背中を付けたまま右へ移動する。正確には彼の紫色に見覚えは無いけれど、それとよく似た蒼色を私は知っていた。
狂気の宿る、優し過ぎた色。
鬱の魅了魔法によく似た眼光、つまり。
「それ、本気で言ってますか」
これはショッピ君の、魅了魔法ということだろう。
それにしてはあの時のくらりと目眩がするような感覚が無い。ただ目が光っているだけで、私の身体に何か紋章が浮かび上がってくるとかそんな事もない。勿論服の下に関しては分からないが、私の身体に何か異常が起こったようには思えなかった。
「ショッピ君は何なの、ショッピ君もインキュバスなの？」
震えてしまった声をカバーするように真っ直ぐ彼を見てそう聞いた。すると可愛い後輩は、一瞬きょとんとした顔になってから口角をくいっと上げた。目は全く笑っていないので恐怖は倍増したが。
「知りたいですか？教えてあげてもいいですけど、先にこっちの質問に答えてください」
──────何処触られましたか？
氷点下、絶対零度。そんな言葉が似合う温度のトーン。
慌てて首をぶんぶん横に振って何処も触られていない意を示したが、どうやら私は凍てついた火に油を注ぐような真似をしてしまったらしく、「答えられないんすか」と冷たく言われた。あの、まだ、何もされてない、デスと後輩に謎の敬語を飛ばすと「本当に？」ともう一度聞かれたので殆ど無意識だったが首を縦に三回振った。
若干まだ不満げな表情だが「まぁいいですよ」と赦された。赦されたって何だ。最初から何も悪い事はしていない筈なのだが。
「それで、俺の正体ですよね」
示指を唇の前に添えて、彼は静かに微笑んだ。相変わらず目は笑っていないが。
「平たく言うなら人間とインキュバスのハーフですかね」
22【ヒールを脱いで大人になる？】→←20【唇の触れてない場所は】
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まも。 - 語彙力が半端ない…好きすぎる。 (3月16日 18時) (
レス) @page20 id: f3d61cfa83 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - やばい…osmnが色気爆発し過ぎてて死ぬ…更新楽しみにしてます！ (2023年2月15日 21時) (レス) @page32 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 更新再会っ！頑張ってください！ (2022年8月20日 14時) (レス) @page32 id: c39d7e026e (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - お久しぶりです！この作品本当に大好きです。osさんっっと悶えてました。新作もすごく面白かったです！これからも応援しています！ (2022年2月23日 18時) (レス) @page32 id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - 過去最高1位おめでとうございます！！前からでしたらすいません。気づいたので書き込ませていただきました。 (2021年9月12日 19時) (レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
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