18【僕の束縛は面倒で】 ページ18
「いやそうはならない」
「ですよね」
けら、と後輩が笑った。
彼はなんやかんやで付き合いが長い後輩のショッピだ。年こそ私より一個下だが、後輩とは思えないくらいに落ち着いた雰囲気を感じる事が多い。まあショッピ君もとっくの昔に成人した立派な社会人なのだから当然ではある。だが、初めて出会った高校時代から彼はずっと変わらないそれを纏い続けており、先輩としての私の面子を幾度となく食い破っているのもまた事実である。
「まあ終わったらタクシー捕まえて帰るよ」
「この時間やったら運転手にもガン無視されるんちゃいます？」
「怖い事言わないで」
そのまま数分が経過。私が漸く最後の一枚を拾い上げた所で、目的の資料を見つけたというショッピ君の声が遠くの方から聞こえた。どうやら私が床に落ちた書類を一枚一枚のろのろ拾っている間にも、出来る後輩はくるくると動き回ってくれていたらしい。インターホンを鳴らされた時のように意味もなくはーい、と返事をして彼の方へ向かおうとしたが、通路が狭く一つ一つの棚が高い為、視界が悪くて彼の現在地が分からない。
「ショッピ君？棚の番号は？」
そう声を張ったところで、
「こっちですよ」
真後ろから声がした。
振り返るどころか困惑の声を出すよりも遥かに早く彼に襟部分を掴まれて後方へ押しやられる。またぺたんと情けなく尻餅をついた。今度は勢いが段違いだったからか、強く打った尻が地味に痛い。一瞬とはいえしっかり絞まった首が苦しくて激しく咳込む。視界がぼやけた。なにするの、と目の前の後輩へ掠れた声を飛ばす。
すると彼ははて、と言うような顔をして首を傾げた。数秒固まった後に何やら合点がいったような表情になって、紫色があくどい笑みを口の端に垂らしながら私を見た。
「先輩が悪いんよ、俺の知らん所で呪われてるんやもん」
そう言うや否やショッピ君が私の手を取り、その甲を細い指で三回擦った。行動の意図が掴めずに頭の上に疑問符を浮かべたが、それらはすぐに消える事になる。
視線の先、私の手の甲に浮かび上がったのは、青色の紋章のような何かだった。濃さの違う二本の青い煙が絡み合い、複雑な軌道を描いて少し歪なハート型に纏まっているような模様だ。なにこれ、どうしてショッピ君はこれに気付けたの、と思っていたらそれらは全て声に出ていたようで、それを聞いた彼が溜息をつき、呟くように言った。
「これはまた、厄介な魅了魔法やなあ」
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まも。 - 語彙力が半端ない…好きすぎる。 (3月16日 18時) (
レス) @page20 id: f3d61cfa83 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - やばい…osmnが色気爆発し過ぎてて死ぬ…更新楽しみにしてます！ (2023年2月15日 21時) (レス) @page32 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 更新再会っ！頑張ってください！ (2022年8月20日 14時) (レス) @page32 id: c39d7e026e (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - お久しぶりです！この作品本当に大好きです。osさんっっと悶えてました。新作もすごく面白かったです！これからも応援しています！ (2022年2月23日 18時) (レス) @page32 id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - 過去最高1位おめでとうございます！！前からでしたらすいません。気づいたので書き込ませていただきました。 (2021年9月12日 19時) (レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
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