【アイナナ】双子アイドルは今日も輝く (ページ10)

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｢あ、天だ｣

電話の相手はTRIGGERのメンバーの一人であり、戸籍上でいえば兄弟でもある九条天であった。

その名前を聞いた途端、先ほどの表情から一転、苦虫を噛み潰したような表情へとなる。

｢……もしかして、遅れたこと言った?｣

｢そりゃあ、出演者全員に謝罪の手紙送ったから。
もしもし、天？｣

そんな電話を切ろうとする明香里を放置して、陽晃は電話に出た。

『もしもし、陽晃さん。ライブお疲れ様でした。折角お誘い頂いたのに行けなくてすみませんでした』

｢いいんだよ別に。同業者……アイドルの人たちにはみんな招待状送ったけど、来れたの1グループだけだったしね｣

『そうですか……。ところで、明香里はいますか』

｢いるよ。携帯そのまま渡すと切りそうだからハンズフリーにするね｣

そこでようやく切ることを諦めたのか、明香里は大きなため息を吐いた。

ソファに置いてあったぬいぐるみを抱きしめて、不服そうな声で天の質問に答える。

『遅れた原因は？』

｢渋滞、私は悪くありません｣

『どうせ、間に合うとか余裕ぶって遅めに出たら渋滞に巻き込まれたんでしょ』

｢な、なんでわかって……じゃなくて!!｣

そして次第に口喧嘩が始まり、携帯電話を睨みつける明香里の姿に、携帯電話を持つ陽晃はくすくすと笑う。

今回はどちらが勝つのやらと思いながら、｢昔から仲がいいなぁ｣、と一言零すと、『｢よくない!!｣』と息ぴったりに叫ぶ2人に、また陽晃は笑うのだった。