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｢TRIGGERどうしたのかしら……｣
そう呟いた後、明香里が不安げに｢……TRIGGERの楽屋に行ってみましょう｣と言いながら部屋から出ていく。
陽晃は｢ちょ、姉さん!｣と、慌てて姉を追いかけた。
｢入るわよ。……姉鷺さん、これはどういうこと?｣
｢……今、事務所と番組側が揉めてるのよ。それでTRIGGERは出演中止｣
｢……それ、TRIGGER関係ないでしょ。なんでステージに立つのに外野の喧嘩が関係してくるのよ!!｣
｢姉さん、落ち着いて｣
声を荒らげる明香里を宥めようと陽晃が肩を掴む。
その時、ステージの方から激しいブーイングが聞こえてきた。
「なんだ、この物凄いブーイング」
「僕たちが出ないことを発表したんでしょう」
「まって。イントロが聞こえてくる。……まさか、嘘」
TRIGGERの三人が困惑する中、明香里は聞こえてきたイントロと歌声に耳を澄ませ、ぐしゃりと顔を歪めてTRIGGERの楽屋から飛び出す。
取り残された三人と陽晃もこの激しいブーイングの中、IDOLiSH7が歌っていることに気づき明香里の後を追うように楽屋を出た。
「……あ、明香里さん」
「平気なの、こんな中で歌わせて」
「はい、大丈夫です。うちのアイドルは、ガラガラの会場でも、びしょ濡れでも、全力で歌えるんです。あの子たちの思いは、歌声は、きっと会場のみんなに届くはずです！」
「……こんな酷い状況で歌わせるなんて薄情だと思うけど。まぁそれだけ信頼してるってことよね。それに、あなたの言うとおり。ブーイングも静かになって、歓声が聞こえ始めてる」
激しいブーイングは次第におさまり始め、その最中に歓声や観客の歌う声が聞こえてくる。
曲を覚えていることや一生懸命に歌う姿が観客の心を掴んだのだろう。
もしくは、センターの陸の力なのか。
そこまで考え、「まさか、ね」と明香里はぼそりと呟いた。
IDOLiSH7が歌い終わった頃にはブーイングなどなく、ただ溢れんばかりの歓声だけが響き渡っていた。
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作者名：ニャルラトテップ | 作成日時：2018年10月4日 1時
