【アイナナ】双子アイドルは今日も輝く (ページ17)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:32,541 hit

15 ページ17

事務所が出している送迎の車の中、明香里はさっきから無言の陽晃の様子を見ながら、おずおずと訊ねた。

｢お、怒ってる……?｣

｢別に怒ってないよ?｣

無視されることを覚悟していた明香里だが、予想と反対に陽晃は優しい笑みを浮かべながら答えてくれた。

彼女は暫く唖然した後、安心したのか涙をぼろぼろと零し始めた。

｢ちょっ、姉さん!?｣

｢よ、よかったぁ……。嫌われたかと、思ったじゃないの、ばかぁ｣

｢僕が姉さんを嫌いになるわけないだろう。それに、姉さんが困った人なのは昔からだからね。慣れてるから、怒りもしないよ｣

明香里の背中を優しくさすりながら優しい言葉をかける陽晃に、彼女は涙を拭ってにんまりと笑う。

｢ま、まぁ私の陽晃だもの、私のこと分かってて当然だし、嫌いにならなくても当然よね!!｣

｢そりゃあね。……姉さんは、何もしなくていいから。ただ、自由気ままに歌って踊っていればいい。面倒なことは全部、僕がやるから。だから、安心して｣

自信満々な彼女に、陽晃はまるで熱狂的な信者のような言葉を述べ、どこか狂っているような笑顔を浮かべる。

それに、明香里は少し複雑そうな表情をした後、｢ありがとう｣と嬉しそうな笑みを浮かべた。

｢でも、あんなやつに謝る必要なかったと思うけど。私たち、何も悪くないじゃない｣

｢社会ってそういうものだから、しょうがないよ｣

不満そうな明香里の言葉に、陽晃は苦笑いをしながらあやすように返事をした。