骨に刻む / 傭兵 ページ10
食堂に入ろうとドアノブに触れた手をピタリと止めた。中から聞こえてくるのは、二人の男女の話し声。
「あら、それは私に対する挑戦かしら？」
「さぁ、どうだろうな。次のゲームで分かるだろ」
マーサと、ナワーブ。声の主が分かってしまって、ドロリと胸に汚い感情が落ちる。
ああ嫌だ。付き合ってもいないのに、彼を独占してしまいたい。
醜い嫉妬が理性を奪う。今ここで食堂に入ってマーサを殴ったら彼はどんな反応をするだろうか。
彼女から引き離す？私を殴る？ただ単純に止める？呆然と眺めたまま？
どれにせよ、二人だけでなく全サバイバーから軽蔑の目で見られる事は間違いないよなぁ。
出来もしない行動を想像するだけして、ふっと自嘲する。情けない。こんなに女々しく重い気持ちがあるから彼の眼中に入れないんだろう。
正直、マーサとナワーブはお似合いだと思っている。あの二人は私がゲームに参加した時から良いチームプレイで何度も勝利に導いているし、気が合うのか(と言っていいのか分からないけど)仲間を救助するタイミングも良く被っている。
二人は運命なんじゃないかな。
ドアノブから手を離し、爪が食い込む程に握り拳を作る。当然私の存在に気が付かない彼らは楽しそうにお喋りを続けていて、なんだか、惨めだ。
「A」
「……イライ」
相棒の梟を肩に乗せたイライが、食堂に入らず扉の前で固まっている私を不思議に思ったのだろう、首を傾げてこちらに近付いてきた。
「入らないのかい？もう少ししたら晩御飯だけど」
「あー…いや、部屋に忘れ物したからちょっと取りに行ってくる」
「そっか」
私の横に来て、イライが食堂の扉を少し開けたところで梟が私の肩に乗り移った。え、とビックリする私に対してイライは驚いた様子はなく「本当にAの事が好きだね」と呆れた目で梟を見ていた。
つまり、これはこのままでいいの…？私の困惑を察したイライは「そのままでいいから、早く取りに行っておいで」なんて言って食堂に入って行った。
イライが来たから一瞬忘れられたものの、やはり一人になると二人の事が頭に浮かぶ。
どうして、私では。何故、彼女なの。
マーサへの下劣な羨望が、心に、骨に刻まれていく。
自室へ戻る為に階段を上りながら思考する私を梟がじっと見ていた。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
