愛おしい / 写真家 ページ9
すやすやと安らかな寝息を立てるAに、またかと溜息を吐いた。
まったく、こんな誰が見てるか分からない中庭で眠るなんて。無防備にも程があるだろう。
ぽかぽかとした暖かい午後の陽を浴び、膝にひげさんを乗せたまま目を閉じているAの顔を覗き込む。
……顔が見えにくいな。
彼女の可愛らしい寝顔を隠してしまっている垂れた髪を耳にかけてやり、「ねぇ」と呼び掛けた。
「起きて、こんな所で寝てたら風邪を引くよ」
「ぅ、ん……？」
数秒ぼんやりとした後に花が咲いたように笑うA。その愛らしい表情に釣られて私も微笑めば彼女は横にずれて「どうぞ」と着席を促した。
うぅん、起こしたら図書室にでも行こうと思っていたんだけど。他でもない彼女からのお誘いだ。断れないな。
「ありがとう、失礼するよ。……それで、何をしていたの？」
「読書、そしたらひげさんが来て撫でてたらいつの間にか寝ちゃってた」
「いつの間にって、君さぁ」
この前も柴之助を抱きながらそんな事を言ってなかった？
言外に目でそう訴えればAはその通りとはにかんだ。……可愛い。いや、とにかく！
「私以外の男に寝込みを襲われたりでもしたら容赦しないからね」
「えぇ？私なんかを襲う物好き居ないでしょ」
「Aはもっと魅力的な女性だって自覚を持ってよ。いつも不安なんだ」
「魅力的、ねぇ……？」
首を傾げながらぽつりと呟いたAに「まぁ気を付けてくれればいいよ」と艶やかな髪を乱さないように優しく撫で、腰を上げた。
しかし服の裾が引っ張られ、動きが止まる。視線を落とせば服の裾を掴む手があって、その手の主は勿論、Aであった。
少し下げられた眉と寂しいと訴える目に、うっ、と言葉が詰まる。最近Aに対して可愛い可愛いばかり言っているような気がするんだけど、まぁ事実なので気にしないでおこう。取り敢えず可愛い。
「行っちゃうの？」
「え、あ、うん。図書室に」
「そっかぁ」
「……図書室での用が済んだらまた戻って来るよ」
「本当に？あ、いや、私も部屋に戻るから、いいよ」
「じゃあ、待っててくれないかな？もっとAと居たいんだ」
「……分かった」
今度は柴之助でもひげさんでもなく、私が一緒に午後の陽を浴びよう。
嬉しそうに笑った彼女に愛しさが溢れておでこにキスを落とした。
ああ、驚いた顔も可愛いなんて、果たして私の目がおかしいのだろうか。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
