検索窓
今日:58 hit、昨日:54 hit、合計:629,998 hit

崩落 / 黒無常 ページ8

ぱち、と目が覚める。どうやらいつの間にか眠っていたようだ。

ふあ、と欠伸を零して伸びをする。まだぼんやりする頭で辺りを見渡せば、隣で無咎が寝ている事に気がついた。
寝る前は必安だったのだが、交代したのか。必安はああ見えて寝相が悪いから交代してくれたのは嬉しいけども。

シーツの上に広がっている黒髪を一束掬い、じぃっと眺める。……きれいだなぁ。
気が付いたら唇を寄せていて、どこかのキザ男みたいに髪にキスをしていた。恥ずかしい限りである。
見られていないだろうか、と無咎の顔を覗けばすやすやと安らかな寝顔がある。ああ良かった、もし見られてたら揶揄われる事間違いなしだったろう。

「……」

誰か私を叱ってくれ。自爆していく私を。
いや、ほんの出来心だったって言うか、ただ無意識だったんだ。

彼より先に目覚める事が滅多にない私はじっとその綺麗な寝顔を見詰めてしまって、吸い寄せられるようにその唇にそっと自分の唇を押し当てていた。
無意識なんだ。無罪を主張する。
我に返って離れようとしたら何故か彼の手が後頭部を抑えていてそりゃもう私はびっくりである。

「ん!?っ、ぅ……ふ、ぁ」
「っは……朝から積極的だな、A」
「いやっ、これは違…というかいつから起きてたの!?」
「Aが起きる前から」
「な、なんで寝た振りなんか……」
「いつもは俺が先に起きてるからな、もしAが先に起きたらどんな事をしてくれるのかと思って」

しかしまぁ、想像以上にいいものが見れた。
うっそりとした笑みを浮かべ、顔を寄せてまたキスをしようとする無咎から慌てて距離を取る。あっ、後ろ壁だ。

「逃げるな。先に仕掛けたのはAだぞ」
「お、欧米では挨拶の一環でしてね」
「俺もAも亜細亜出身だろう?」
「ひえっ、ご最もです」

体を起こしてこちらに迫る無咎。私の手を壁に縫い付け、じっと見下ろしていた。

「お前が悪い」
「いやいやいや違うんですよお!」

最早涙目である。朝から盛るとかキス一つにどんな効果があるのさ!
手違いで必安と交代しないかなと淡い期待を抱きながら、近付く美顔に瞼を閉じた。

愛おしい / 写真家→←堕落 / 白無常



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (598 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1208人がお気に入り
設定タグ:identityV , 第五人格 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜!下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです! (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました!悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…!想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′・ω・`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました!!笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます!リクエスト?があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい!(←ただの変態でごめんさい! (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:遊歩 x他1人 | 作成日時:2019年1月5日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。