咬ませ犬 / 写真家 ページ19
薄暗い路地裏。少し露出の多い、言ってしまえば下品な服を着た女性に半歩下がる。
ツン、と刺激的な香水に密かに顔を顰めた。これを嗅ぐとウィラがどれだけ腕の良い調香師なのか改めて感心してしまう。ああ、彼女の程よい大人の香りか、もしくは大好きな彼の匂いが恋しい。
ここで待ってて、と言って街の中心にある噴水の傍のベンチに私を座らせ、どこかの店へ消えてしまったジョゼフさん。まだ時間は経ってないから、彼の迎えは期待できないだろうなぁ。
「突然ごめんなさい。貴女の隣に立ってた彼…ジョゼフの話なのだけれど、彼、私に合ったイイ男だと思わない？」
「……はい、？」
「あはっ、やっぱり思うわよね！貴女みたいな冴えない小娘よりもお似合いでしょう？だから、頂戴よ、彼を私に譲りなさい」
私が馬鹿にされたとかそんな事はどうでもよくて、まるで彼が物みたいな言い方に腹が立った。
煙草に火を付けて、ふぅ、と煙をこちらに向かって吐く彼女には常識というものがないのだろうか。一つ咳をして鼻と口を袖で抑えた。
「ぃ、嫌です」
「……はぁ？」
否定の言葉を述べれば、女性はご尊顔を酷く歪ませた。不愉快だと顔にありありと書いてある。これ以上彼女を怒らせてはダメだと何となく思い黙っていれば罵詈雑言の散弾銃が乱射される。
あんたみたいな貧相な体の売れ残り！誰にでも尻尾を振る売女が調子に乗るな！
いや、正直すごいと思った。人ってここまで自分を棚に上げて他人を貶せるものなのか、と。
ドン引きしていれば肩を押され尻餅をついてしまう。立ち上がろうとするも、お腹をヒールで踏まれ地べたに倒れてしまった。
ジョゼフさんに選んでもらったお気に入りの服なのに、汚しちゃったなぁ。
女性を見上げれば、逆光で表情がよく分からない。
「早く別れなさいよ。彼は貴女を愛してないわ、ただ同情で一緒に居るの」
じゃ、次会う時は貴女の負け犬っぷりを楽しみにしてるわ。
最後にお腹を尖った靴先で蹴って去った彼女。残ったのはお腹の痛みと汚れた服、香水と煙草の混ざった嫌な臭いだった。
愛してない？彼が、同情で？嘘だ、嘘だ。そんな訳がない。だって、彼はいつもあんなに、愛してると言って。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
