脳に刻む / 傭兵 ページ11
夜中寝付けなくて、以前誰かからホットミルクが効くと聞いたから作ってみようと食堂に来てみたら最悪な場面に遭遇した。
半分開いた食堂の扉からはオレンジ色の間接照明が漏れていて誰か居るとは分かっていたが、まさかそれがAとイライだなんて誰が想像出来るだろうか。
「Aが作るホットミルクは美味いな、隠し味とかあるの？」
「愛情」
「……？」
「ねえごめん首傾げないでごめんって」
来るんじゃなかったと後悔した。二人の仲良さげな様子を見て、ぐるぐると胸に薄暗い感情が渦巻く。
俺にはそんな顔見せないくせに、イライには簡単に見せて。
ホットミルクが入っているであろうカップを持ちながら楽しそうに喋り笑い合う二人。思わず顔を顰めた。まるで恋人同士みたいな雰囲気を漂わせるから、不愉快だった。
いつもAはイライばかりだ。彼女がゲームに参加した時からずっと。
二人で一つみたいに行動して、こんな風に夜中だというのに二人で会って、まるで、そう、運命共同体みたいだ。
しっくりくる言葉がそれしか無いというのが悔しい。……悔しい？いいや、憎いのだ。
「それで？最近どうなんだい？」
「……一応聞くけど、何が？」
「そりゃあ、Aの意中の人に決まってる」
「本当に君って話の流れを読まないよね、今その話してなかったじゃん」
は、と息が止まる。敵はイライだけでは無かったのか。
意中の人の名前を聞き逃さんと、より一層聞き耳を立てて気配を消す。しかしAはその話になった途端、涙声でぼそぼそと喋り始める。こんな声も出すのか、と新たな彼女を発見すると同時に無性にむかついた。
彼女をここまで弱らせる相手が憎かった。
肝心の名前は一向に出てこないが、話を聞く限りAの片想いらしい。しかも相手には善い相手がいるみたいだし。
よかった、と安心してしまう俺はクズだろうか。…聞くまでも無いか。
「…好きなのに、なぁ」
「砕ける覚悟で告白してみたら？」
「ははっ、立ち直れないよ」
ぐず、と鼻を啜る音がする。ああ、そこまで本気なのか。相手が羨ましい。
「…好き、大好き、あなたの為なら何でも出来る、のに」
たとえその言葉が他の誰かに向けられたものだとしても、聞けただけで嬉しかった。
自分に言われたような錯覚を忘れないように、前後の会話を消して想いの告白のみを脳に刻んでいく。
部屋に戻ろうと踵を返した俺の背中をじっと梟が見ていた。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
