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紅茶でも淹れに行ったのか。描き主が居なくなり放置されたキャンバスを正面から観察する。
芸術なんて教養は受けていないから見るべき点は分からないけど、流石写真家と言うべきか、風景への熱の入りようが凄かった。
一瞬俺にも描けるだろうかと淡い希望を抱いてしまったが、どこぞの技師に泥水を描いたの？とでも笑われてしまうだろうから自分の心の中に仕舞っておこう。
描かれた人物の中には俺も居て、機械人形に羽交い絞めにされている情けない恰好だった。もうちょっと真面な場面を選んでくれよ……。愛刀で俺の所だけ切り取ってやろうかと思ったけど、烈火の如く怒られる事は目に見えているからやめた。
「ナワーブ」
「あ、A」
横に並んで絵を眺め始めたA。ジョゼフと瓜二つの容姿だが身長は兄よりも大分低い。
無言で居るのもなんだから絵の感想を言ってみる。
「この絵すっげぇ綺麗だな」
「んふふ、そうでしょ？なんと言ってもジョゼフ兄様が描いたんだからね！」
「本当好きだな…」
「勿論、世界で一番大好きだよ」
そう言って、心底幸せそうに微笑んだAは下手したら女も惚れる奴が出るんじゃないかってくらい可愛かった。
そんな不意打ちに一瞬でも心臓をうるさくさせた俺は、背後からのひやりとした声に別の意味で心臓をうるさくさせる。
「傭兵、Aと何してるの？」
振り返ればワゴンに紅茶や菓子を乗せて運んでいるジョゼフが冷ややかな目で俺を見ていた。
ゲームの時ですらそんな顔をしないというのに。Aに関する事には途端に許容範囲が狭くなる彼は独占欲の塊だ。
ジョゼフ兄様、と嬉しそうに呼び駆け寄るAはきっとジョゼフが男共を牽制している事に気が付いていないだろう。だってそういう所鈍いから。
「私のこと描いてくれたんだね、ありがとう！」
「ああ、Aがいないと完成しないからね」
「ナワーブも綺麗だって言ってたよ！」
「へぇ…」
「ふ、風景が凄い綺麗だなって！」
まさかお前私のAを口説いたのか、と言わんばかりの視線に慌てて弁解する。嘘じゃない。
キャンバスの中央付近には一人の少女が描かれていた。兄と同じ黄色いリボンで髪を束ね、浅葱色のプリーツスカートが風に吹かれている。
丁度前髪で隠れてしまっているが、ラピスラズリのキラキラした目があるんだろう。
こうして見ると、Aへの熱の籠り様が違う。細かな部分まで丁寧に描かれている。
じいっと、魅入った。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
