海の王者人魚の体に流れる血 (ページ7)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:12,875 hit

よしよしページ7

私の寝室は彼と同じ部屋だったりする。

アジトで居る時は陸にいる私だが、船に乗っている時は海にいるのに。
珍しく彼が船に乗っていろと言った。

随分とご立腹だった。

スッと首の傷を指で撫で、目を瞑る。

「A様？」

控えめで、少し申し訳なさそうな声が私の耳に響いた。
声の主に目をやり、ゆるりと口角を上げる。

『どうしたの？
　ベビー５』

モジモジと壁から顔を覗かせるベビー５に、手を上下に振っておいでおいでをすると、ゆっくりと私に近づいてきた。

「その…」
手には消毒液と、ガーゼが…

『どうしたの？これ』

「若様が…
　その」
ドフィが手当てしてこいとでも言ったのだろう。

『分かったわ』
大人しくベビー５の手当てを受けることにした。

傷口に染みり眉間に皺を寄せる。

「…そのA様」
彼女の声が部屋に響いた。

「若様の事許してあげて…」

眉を下げ、私を見つめるベビー５
私の首には綺麗な処置がされていて、彼女が傷の手当てに慣れているのをありありと示していた。

『私は彼の物で、彼は私の物だもの
　だから私は彼に怒ってなんかないわよ
　心配してくれてありがとう』

ベビー５の額にキスを落とし、頭を撫でる。

「うん！！」
ベビー５は力強い返事をして、Aに抱き着いた。

そんな彼女の背を手で撫で、耳に口を近づけて耳打ちをする。

『扉の前でウロウロして
　入るに入れないドフィを部屋に入れてあげてくれない？』
部屋の前で待ってる彼に聞こえないように、ベビー５に小声で言う。

「え‥」
目を見開いて、クスッと笑みを零すベビー５に、私も笑みを零した。

小走りで扉に向かい、扉をゆっくり開けると、ピンクの羽毛コートの端が見えた。

「若様！」
ベビー５に名前を呼ばれ、肩を揺らすドフィ

私と彼の目がサングラス越しに合った。

ばつが悪そうに、眉を顰め、口をへの字に曲げる彼。
私はそんな彼に微笑みかけ、腕を広げた。

彼はその行動に眉を上げ、口はへの字のまま私に近づく。

ベビー５は部屋から出て、扉を閉めてくれた。
幼いのに本当に気が利く子だ。

彼の長く太い腕が私の体を抱きしめた。

『よしよし』
彼の頭を優しくなでる。

彼はモゾモゾと私の首に顔をすり寄せた。

せっかく貼ってくれたガーゼがベットの上に落ちる。

その首に合った怪我はもう血が止まっていて治りかけていた、そして彼の首にも同じ場所に同じような怪我が浮き出ていた。