海の王者人魚の体に流れる血 (ページ11)

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リフページ11

海が冷たくなり、太陽が海の端から顔を覗かせたころに、島は姿を現した。

顔を覗かせAはその島を見つめる。

私たちのアジト、スパイダーマルズだ。

気候のせいと、海軍の遭遇によりほんの少し到着が遅れたが、商談もうまく進み、誰も傷つかず。
よい成果を残したと思う。

私は尾びれを大きく左右に振り、一気にスピードを上げた。
気付くと船をぐんぐん追い越し、サンゴ礁、魚の群れ、砂

体が砂浜に打ちあがった。

上半身を起こし、髪をかき上げる。

少し肌寒い気がした。

早朝は人の数も少なくて、私は静かで好きな時間だったりする。

少し明るく、海がキラキラと端からきらめく時間。
そしてその時間私は船の到着を浜辺で待つのだ。

少し眉間に皺を寄せた彼が、タオルを持って私を抱き上げに来るのを待つ。

この無駄な時間が私の楽しみだったりする。

だって誰も知らないでしょう？

寒いのに寝起き早々タオルを持って来るあの顔を。
冷たくなった私の体を触ってため息交じりに私に唇を落とすあの優しさを。

待たされるのは嫌いだけど。

今はとても好き。

ザクッ

でも今日は私だけじゃなかったみたい。
こんな早朝に珍しいこともあるものだ。

後ろから砂を踏む独特の音が聞こえ、私はゆっくり振り返った。

「…え＿
　に、人魚？」

そこには薄黄緑の髪を持った、色白な青年が立っていた。
大人と呼ぶにはまだ未発達な体

手には数本の花が握られている。

『あら？
　あなたはだぁれ？』
私は体を青年の方に向け、首を傾げる。
青年は不思議そうに少し小さな声で答えた。

「僕リフ
　そこの花屋を営んでます」
まだ若いのに営んでいるらしい。

『偉いのね
　親はいないの？』
そういうとリフは少し眉間に皺を寄せた。

「海賊に…」

あぁ、なるほど。
リフは変わった髪色をしている。

きっと両親もそのような髪色だったせいで、人攫いにでもあったのだろう。

私は気の毒に思い、目を下に下げた。

「でも随分と前の話だよ
　人魚さんは何て言うお名前なの？」
女慣れしているのか話し方に余裕を感じた。

私が怖くないのだろうか、一般の人には伝説とさえ言われている人魚。

それとも夢だとでも思っているのだろうか。

『私はA』
長い髪を右側に寄せて、微笑むとリフは顔を赤く染めた。
目をそらし、花で口元を隠す。

『どうしたの？』

「その…前が」
あぁ、胸を見て目のやり場に困ったようだ。
なんともうぶな青年だった。