海の王者人魚の体に流れる血 (ページ1)

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尾鰭ページ1

ポチャン

何度も繰り返したこの行為には慣れたものでローは落ちていくパンを見守っていた。
音が耳に小さく木霊する。

いつもならいつもならここで背を向けて部屋に戻っていただろう。
だが今はいつもと違った。

バシャン！ッ

何かが跳ねた。
ローが見れたのは青い大きな尾鰭と、金色の髪

尾鰭はまだ分かる。
でも金色の髪…

ローは暗い海に目をこらした。
船に小さな波がいくつもぶつかってるだけで、何かの姿は見えない。

…見間違いか？…

ローは眉間に皺を寄せて船内に入った。

次の日の昼
「…」
「あ！またロー、パン残してる！！」
ベビー５の怒鳴り声に近い声を無視しながら部屋から出る。

昼ご飯の後という事もあってか、甲板には誰もいない。
船長であるドフラミンゴの姿すら無いのだ。

海を見下ろせるほど近くに来て、ローは懐からパンを出した。
海を見下ろして、パンを見る。

昨日の夜の事は本当の事だったのか、まさか夢ではないのか…
なんて事も考える。

パンに何の変哲がない事も確認して、ローはパンを海に放り投げた。

ポチャン

パンが海に落ちる音が木霊する。
ローはまだ海に浮いてるパンを見ていた。

ユラユラと波に揺られて動くパン
特に何も起らないかと諦めかけたその時

バシャン！

今度ははっきりと見た。
金色の髪をした上半身女で下半身魚の何かがパンを口に加えて潜っていったのだ。

あれは絵本で見たことがある。
確か･･

あれは

ドーンッ！

「うぉっ！」
船がグラッと傾いた。
同時に顔にかかる水しぶき

海を見渡すと少し離れた場所に海軍船
帆に「鶴」と書かれた、いつも見る海軍船

バンッ！

扉が勢いよく開きあいつがやってくる。

「チッ
　お鶴の軍艦か
　しつけぇなァ」
ヒラッと１枚落ちたピンクの羽は音もなく海に落ちた。

「んん？
　ローじゃねぇか
　フッフッフッ
　パンは食ったか？」
ニヤニヤと嫌味を言う男はドフラミンゴ、この船の船長だ。

「･･」
フイッと目をそらしてローはパンをほった場所を見つめる。

「お鶴の軍艦だんねぇ」
「しつこいな」
「…」
最高幹部の３人が出てきた。
もう一人ピーカはアジトを守ってる。

「フフフフッ
　ロー！こっちに来い」
ふと名前を呼ばれ、ローはドフラミンゴの横につく。

「…」
何だという睨みとも言える視線を向けてローは軍艦を見据えた。

海でバシャンと青い尾鰭が覗いたとも知らずに…