【FGO】花の魔術師は病んでいる。 (ページ4)

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隣で静かな寝息を立てるAの髪を撫でる。せっかく整えた髪は情事の最中に乱れ、花弁がベッド付近に服と共に散乱している。

彼女を此処に閉じ込めることが罪な行いであることをマーリンは承知している。そして承知した上で閉じ込めている。

こんなに独占欲にまみれ、自分ものだけにしたいという感情が生まれるのはAに対してだけだ。

髪を撫でていた手を下へ這わせ、首筋に幾つも咲いた赤い花をゆっくりとなぞれば、自身の口角が上がっていく。

きっと他人には見せられないような歪んだ微笑みが浮かんでいるのだろう。

幾ら嫌がろうとも何百、何千の年月で身体に刻んだ快楽に負けてしまうA。

その時の感情はほろ苦く、後からしつこいほどの甘さがやって来る。これを味わえばどうしたって病みつきになるのだ。

そんなAを見る度に、味わう度に背筋にゾクゾクと電流が走り、興奮してしまう。

屈服させる快楽。顔が火照り、もっと一つになって溶け合いたいという欲望。

手放すことなんて出来ない。

これが歪んでいる愛なのは理解していても、その愛を手放すことなど出来やしない。

「A」

その名を口にする度に満たされる。

いつからだろう。こんな風にあまり良いとはいえない感情を抱くようになったのは。

想いが日に日に強くなって、抑えられなくなって。

「永遠に愛しているよ」

早く堕ちてこれば良いのに、一行に堕ちない。そんなところもすごく愛おしい。

もう別に愛を返されなくて構わない。自分以外を目に入れなければそれでいいのだ。

手元にいればそれでいい。

でも、もしものことがあれば?

勿論、地獄の底まで追いかけて何度でも閉じ込めるに決まっているのだ。

愛でるものは鳥籠に。

大切なものは宝箱に。

「永久にAは私といるんだよ」

寝ている彼女に囁く。

それは暗示。あらがえない魔術を含む声。

何も知らない彼女はその魔術にかかったことも知らないで眠りに落ちている。