【FGO】花の魔術師は病んでいる。 (ページ1)

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Prologe ページ1

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『まー、りん……?』

恐怖に歪みきった表情から読み取れるのは、その少女はとてつもなく怯えているということだ。

杖を握り締めたまま一歩一歩、視線の先のものから恐る恐る遠ざかろうとしている。

彼女が一歩後退する度に床板が軋み、暗い部屋の中に反響して木霊した。

だが逃げることを許さないというように白いフードの人物が少女の華奢な肩を掴み、自身の方へと抱き寄せる。

『ひっ……!!』

少女の喉から小さくか細い悲鳴が上がり、カタカタと身体を震わせて目尻に滴を溢れさせた。

フードの人物はそんな少女の様子にクスリと笑みを溢し、指で少女の耳をなぞり囁く。

「ダメだろう。私は絶対に彼らと仲良くしないことを条件に、キミを円卓の騎士に推薦したんだ。なのにキミは、」

そこで一度言葉を区切り、ふぅと艶めかしい溜め息を溢して少女の顎を掴み、視線を無理矢理合わせる。

「私の言い付けを破り、その上恋人まで作って。全く、イけない子だ。こんな子に育てた覚えはないんだけどなぁ」

『は、ぁぁ、……』

薄暗い部屋の中でもフードから覗く爛々と輝く紫の瞳のみがこの部屋の中でぼんやりと淡い光を発している。

その瞳と視線が交わった瞬間、少女の身体はくたりと力が抜けてフードの人物に完全に身体を預けることになった。

瞳に魔術の類いがかかっていたのだろう。

指先一つ動かせず、ただ小さな嗚咽のようなもののみが口から漏れるだけ。

少女は逃げられないことを悟る。

たすけて、と叶わぬ祈りを抱きながら。