ぐずぐず和7 ページ43
翔サイド
可愛い咳の音が聞こえてきた。
雅も気づいたようで少し心配そうに和を見ている。
智兄は疲れているのとビールのおかげでテーブルに伏せて寝てしまったようなのでそっとしておくことに。
「ちょっとしんどそうだね。」
雅「一度起こしたほうが良さそうだね。水分取らせて咳止め飲ませるか吸入させるかしたほうが良いんじゃない？」
そういうとサッと立ち上がり和の元まで早足で向かう雅。
外科医の身のこなしが身体に染み付いてるんだろうなぁ。
背中トントンされて目を覚ました和は起きたと同時にまた激しく咳き込み出した。
身体を起こしてもらいソファに腰掛けてる。
「せっかく眠れてたのに咳で目覚めちゃったね和。コンコンしんどい？」
和「ゲッホゲホゲホ...」
返事の代わりに咳き込む。
雅「水分取らすのなんか危なそうだな。余計にむせちゃいそうだね。」
確かにこの状態でむせたらあっという間に呼吸困難起こしかねない。
「喘息出てきちゃったのかな。ちょっと服捲くるよ、和。」
声かけると雅が上の方まで捲くりあげてくれた。呼吸が苦しいのか両腕をソファについて身体を支えている。
「無理しないで良いからね。楽に呼吸しててよ。」
背中側から聴診器をあて呼吸音を聴く。
咳の音が響いて聞こえづらい。
少し咳が落ち着いたタイミングで耳に神経を集中させる。
素早く肺野全体を聴いてみるけど喘鳴は聞こえない。
「喘息じゃないね。」
雅「でもだいぶ苦しそうだね。咳出すぎてちゃんと酸素取りこめてない感じかな？」
「前も聞かせてね。」
気管支に聴診器当てて聞いてみるけど狭窄してる感じもしない。
なんでこんな辛そうなんだろう。
雅「どこか痛いの？胸痛みはない？」
聴診を終えると雅が和の顔覗き込んで聞いている。
確かに咳のたびに眉間に皺を寄せている。
もしや？
まさか？
いや、だって和は一度もなったことないはずだけど。
「ちょっともう一回ごめんね。」
聴診器を構えると雅がまた服を捲り上げてくれた。
胸部前面の肺尖のほうから丁寧に慎重に音を聴いていく。左右交互に聞き比べて。
和だったら呼吸器内科だから毎日毎日多くの患者さんの呼吸音何年の聞き続けてるから慣れてるだろうけど。救急はね、なんというか切羽詰ってる状況が多いからさ。
要は死ぬか死なないか、そこを基準として仕事してるからやや慎重さにはかけるところがある。
「んーーどうだろう。言われてみれば若干右の呼吸音減弱かなって程度だけど。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2016年2月23日 20時
