妹ちゃんの悲劇7 ページ34
翔サイド
組織検査の結果が出た。
所見：絨毛および脱落膜。
胎盤絨毛組織だとわかりやはり自然流産。
気が重い。
日常こういう患者さんを救急で診ることがあるのに、検査結果を淡々と伝えているのに、身内のこととなるとものすごく胸に重くのしかかる。
「山下、こっち来て。」
こんな状況でも普通に仕事をしている義弟を尊敬するよ。
患者さんの手当てをしている山下を手招きで呼ぶ。
全てを悟った表情でこちらに向かってくる。
「検査結果。お前から伝えるか？俺から言おうか？そうか潤に頼んでも良いよ。」
紙切れ一枚が今の俺たちにとってどれほど重いものか。
予想はしていただろうしおそらくそうだとわかっていたのにいざ現実として突きつけられると苦しいよな。
山「潤さんから話してもらえますかね？夫としてAのそばにいてやりたいから。」
うん、頷いて山下の肩を叩き潤の元へ向かう。
カーテンを静かに開けると眠っているAとベッド脇の椅子に並んで座っている潤と雅と和。
一斉に3人の目がこちらを向く。
俺がうんうん、と頷くとみんなの顔が曇った。
俺だってこんなこと知らせたくないよ。
「潤、ちょっと良い？」
立ち上がった潤の顔はしっかりしたドクターの顔になっていた。
カーテンを閉めて少しAのいる場所から離れる。
「これ検査結果。潤の診立て通り流産。組織が残ってないかの確認お願いね。それから、お前からAに伝えてくれるか？山下はAのそばに夫として寄り添っていたいって。」
潤「うん、わかった。」
そう言って紙を受け取り山下の下へ向かう潤。
どんな言葉をかけるんだろう潤は。
もう一度カーテンを開けて潤が座っていた椅子に座る。
「A泣いてたね。ものすごく泣いてたね。」
和「うん。」
雅「見てるこっちまで涙出てきちゃったよ。どうするの？」
「潤から説明する。どっちにしても膣内の検査もしなくちゃいけないし。しばらくは子宮も収縮するから痛みもあるだろうし。まぁ今眠ってる間は何も感じてないだろうから、それだけが救いかな。」
和「悲しいね。」
「そうだな。悲しいことって起こるんだね。」
雅「でもいつかAの赤ちゃんに会えるよね。」
「うん。俺たちが思いつめた顔したらAも辛いだろうから、和と雅はお兄ちゃんでいてあげてね。潤はしばらくはドクターとしてAのケアに当たるだろうから。」
和雅「うん。」
2人の肩をポンポンと叩いて仕事に戻る。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年10月12日 21時
