喘息(翔)7 ページ22
潤サイド
「はい、これ気管支拡張剤の注射液。で翔兄の具合はどう？」
過労と季節の変わり目ってことで翔兄が久しぶりに喘息の発作を起こしてる。
帰る支度をしていると和兄がロッカーに入ってきて、薬剤の入った袋を渡してきた。
まだもう少し仕事残ってて遅くなりそうだから、薬なるべく早く届けてあげてって。
和兄は本当に優しいよね。
厳しいところもあるけれど兄弟のことすごく思ってくれてる。
体調崩したときは付きっきりになって看病してくれるし。
智「1時間半くらい前にベネトリン2回吸わせて、今のところは落ち着いてるけど。完全にすっきりした感じはしないね。眠ってるけど、呼吸のたびにひゅーひゅー言ってるのが聞こえるから。」
「そっか。じゃ今夜辺り発作でちゃうかも？」
智「うーん、どうかなー。相変わらずの激務だしちょっと風邪気味だったみたいだから可能性は大きいね。救急に行くほどひどい発作じゃなければ良いけど。和、何時ごろに帰って来るって？」
「9時までには帰れそうって言ってたよ。」
時計を見ると8時前。あと1時間もすれば和兄が帰って来ると思うと安心する。
やっぱり専門医がいてくれるとそれだけで安心感がある。
智「そっか。じゃもうすぐだね。ちょっと翔の様子見てくるね。潤は疲れてるでしょ、ゆっくりしてて。」
そう言ってリビングを出て行こうとする智兄。
智兄だって一日働いて、帰宅して翔兄の面倒見てたんだから疲れてるだろうに。
「俺は平気だよ。俺も一緒に翔兄の様子見に行く。水分補給ちゃんと出来そうな感じ？ペットボトル2,3本持っていったほうが良い？」
智「そうだね、お願い。」
部屋着だけど首から聴診器をぶら下げてる姿は立派なドクターだよなーって思う。
そりゃ消化器のエースだもんね、格好良く決まってるよ。
常温のお茶のペットボトルを2本と和兄から預かった薬の袋を持って智兄の後をついて階段を上る。
「しばらく喘息出てなかったのにね。」
智「ねー。やっぱり季節の変わり目には症状なくてもコントローラーで予防を徹底しておいたほうが良いってことだろうね。発作出てからだとしんどいし、回復にも時間かかっちゃう。なんせゆっくり体休めるタイプじゃないからさ、翔は。」
確かに。
救急なんてただでさえも一番多忙な部署だろうし、そこのお偉いさんの1人な訳だしね。
「仕事休むなんて言わないもんね翔兄。」
智「言わないね。まあその判断は和に任せるよ。主治医は和先生だから。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年10月12日 21時
