喘息(翔)6 ページ21
智サイド
「ただいまー。翔、帰ってるんでしょー？和が心配してたよー。今日の分の吸入ちゃんとしたぁー？」
玄関を開けると翔の靴がきちんと揃えてあった。
珍しく定時で帰ってきたみたい。
帰り際に和から連絡があって、ちょっと喘息っぽいから気をつけて見ててあげてって。
吸入も2種類処方したらしい、予防用と発作時のリリーバーと。
習慣付けるまでに多少時間かかるし翔は自分のこととなると結構いい加減というか忘れっぽいというか。
リビングを覗いても姿が見えないので階段を上る。
「翔、ただいまー。疲れて寝てるのー？」
返事がない。
部屋のドアをノックしようとしたときに咳き込んでる音が聞こえてきた。
「あらあら咳出てきちゃったの？いつから？」
ベッドの中から篭った咳の音が聞こえてくる。
翔「ゲホゲホゲホ..あ、お帰り、智兄。ゲホゲホ...」
「大丈夫？だいぶ咳出てるみたいだけど、息苦しくない？何か飲むもの持ってこようか？」
翔「ん？大丈夫。」
大丈夫そうじゃないのは明らかなんだけどな。
「和に処方してもらった吸入した？」
咳き込みながらもうんうんと頷いてる翔。
吸入してもこの状態ってことか。
「予防用の吸入したの？何時ごろ？」
翔「ゲッホゲホゲホ...智にぃ...ゴッホゴホ..」
一旦上体起こしてあげたほうが良いだろうな。
「ちょっと体起こそうね。ほら頑張って起き上がれる？枕背中に当ててあげるよ、そのほうが少しでも呼吸楽になると思うから。」
ちょっと強引かなと思ったけど布団を捲くって枕を抜き取った。
両肩を支えて起き上がらせる。
咳が激しすぎたのか汗をかいてる。
「お茶取って来る間だけ待ってられる？リリーバーどこに置いてるの？」
ベッドサイドに見当たらずさっと部屋を見渡すと机の上に吸入器が置いてあった。
とりあえず一回吸わせたほうが良さそうだな。
翔「智にぃ...く、苦しい..ヒューヒュー。」
「大丈夫だよ、頑張ってこれ吸おうね。お口開けれる？シュってするから頑張って吸い込むんだよ、翔。」
肩を上下させ苦しそうにしてる翔。
目からは涙が溢れ出しそうだ。吸入器を咥えさせてシュっと噴射する。
頑張って吸い込んでるみたいだけど、ほとんど吸えてない。.
「もう1回シュってするからね、頑張ってスーッてするんだよ。」
うんうん頷いている。
これで呼吸楽になると思うんだけどな。
注射液持って帰ってくるように和に連絡いれようか。
今夜あたり発作が出そうな予感がする。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年10月12日 21時
