喘息(翔)5 ページ20
翔サイド
和「はい、そこに座ってね。あ、白衣は脱いでよ。スクラブはー、まあ良いか、その下何にも着てないんでしょ？」
和の外来診察室にくるとすっかり和にペースに乗せられてなんか調子が狂っちゃう。
俺のほうがお兄ちゃんなのに。
言われたとおり白衣を脱いで、ドサッとベッドの上に投げた。
少し肌寒い。もうそんな季節か。
「あのさー、何で俺ココにいるの？」
我ながら間抜けな質問だと思いながらも聞いてみた。
和「は？今更聞く？喘息の患者さんのフォローアップしようってことだよ。今の時期発作出やすいし、普段からちゃんとコントロールできてるかなーとか、最近の調子はどうかなーって。」
「あ、はい...」
やっぱりドクター用の椅子に座ってる和は立派な先生だな。
それに自分の診察室だからなんていうか馴染んでるというか、早い話和のテリトリーに連れて来られちゃったってわけだよね。
和「じゃ診察する前に最近の体の調子教えてくれる？」
チラっとこっちを見てすぐにパソコンに目をやった。
俺が話し始めるのを待ってるんだろうね。
最近の体の調子って言われても...
すると、またこっちを見た和。
今度は椅子をくるっと回してちゃんと正面を見て座ってくれて。
首を少しかしげて笑顔を向けている。
いつも患者さんにもこうやってるのかな。めっちゃ可愛い先生じゃん。
和「最近の調子はどうですか？咳が出るとか息苦しくなることがあるとか。ない？翔兄は毎日元気いっぱいですか？」
にっこり笑顔を向けて俺の返事を待っている。
「んー、特に気になることないけど、明け方に咳は出るかなーって感じ。」
和「咳で目が覚めて眠れない？」
「まあね、うっとおしいから一度目が覚めるともう寝れないかな。どっちにしても起きないといけない時間に近いから仕方ないんだけど。ゲホゲホ...」
治まってた咳がまた出てきた。
和「そっか。じゃ体しんどいね。」
少し悲しそうな顔をする。
患者さんにしたら先生が心配してくれてるんだなって思って嬉しいだろうね。
「まあでも救急の忙しさが原因の疲労に比べたらそんなでもないけど。」
和「吸入は使ってる？内服薬でもいいけど、何か薬で対処してる？まぁしてないか。」
「そこまで酷くないし。てか俺あんまり時間ないんだけど早く処方箋出してくれない？」
そういうと機嫌を損ねた顔をした。さっきまでの可愛い笑顔が消えちゃった。
和「ちゃんと普段の生活を聞くのが大事なんです、特に喘息患者さんは。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年10月12日 21時
