扁桃腺炎(潤)13 ページ13
潤サイド
「んーーんーーーっ！！！」
智兄に起こされた。
ベッドの背が立てられて何？って思ってると、喉切開して膿出しちゃおうだって。
そんなふにゃっとした笑顔で言うことじゃないでしょう...
智「泣かないのぉ潤。今、口も開けられないくらい痛いでしょ？だいぶ膿溜まってるみたい。だから熱も下がらないし。」
「んーーーんーーーーっ！んーーーうううーーー。」
口が開かないから、嫌ともいえない。
とりあえず唸ってみて拒否を全力で伝えてるんだけど。
翔「あ、起きたの潤。じゃお口あーんして診せて？」
普通の診察の時とは違う、滅菌グローブをはめてる翔兄...
絶対、口あけるもんか！智兄も翔兄もひどいよ。
扁桃腺切るなんてそんな簡単に...
気がついたら涙がいっぱいほっぺたをつたっていた。
智「泣かないよー。あーん、頑張ってできるところまでしてごらん。」
智兄の手にはペンライトが握られている。
翔兄を見ても笑顔のくせに手には舌圧子が...
頑張ってちょっとだけ開けてみた。でも予想外に痛みが激しくうまく開けることができない。
翔「えらいえらい潤。もうちょっとだけ頑張れる？もうちょっとだけ。」
目を閉じて頑張って口を開けることに集中しみる。
智「おーえらいえらい。どう？見えてる、翔？」
翔「うわぁーこりゃ重症だね。扁桃周囲膿瘍だわ。切る前に膿、針で吸引する。このまま切ったら口の中膿だらけで大変なことになっちゃう。」
智「そんなに？」
翔「うん。よく我慢してたね潤。これものすごく痛かったでしょ？」
優しい目で聞いてくれる翔兄にウンウンと頑張って頷いてみせた。
翔「ベッドの背、もう少しだけ倒してくれる智兄？潤、注射の針で吸えるだけ膿吸っちゃうね。チクっとするけど、今の痛みよりかは痛くないから頑張ろうな。」
智「翔がね、すぐに終わらせてくれるからね。お目目は閉じておいてよ。お手手は僕とつないでおこうね。頑張ってあーーーんってしてるんだよ潤。」
怖いよ...
喉に針刺すなんて怖い...
そう思うとまた涙が溢れてきた。耳のほうへ涙がどんどん流れていく。
翔「動いたら危ないよ。針違うところに刺さったら大変だからね。じゃ、お口あーーーーーん。」
翔兄の大きな声が聞こえてくる。
頑張って開けてるつもりなんだけど...
んんん！！！
チクーーーッと激痛が喉に走った。
翔「動かないでよ潤。」
さっきよりも少し厳しい翔兄の声が響いたのと同時に智兄が手をぎゅーってしてくれた。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年10月12日 21時
