夏風邪(潤)6 ページ49
翔サイド
「和がもしもしーってしてくれるんだよ、潤。すぐだから動かないよ。」
身体の大きい潤だからちょっとぐずっただけでも宥めるのが結構大変。
和「はーい、もしもし〜。潤くんは元気かなぁ〜。」
和もとびっきりの笑顔なんだけどそんなのも見る余裕はないらしい末っ子ちゃん。
ぎゃーぎゃーと声はどんどん大きくなるばかり。
潤の胸に聴診器を当ててる和も苦笑い。
「何にも聞こえない？」
和「ふふふ。ぎゃーぎゃーって声だけ響いてる...」
「だろうね。ほら、潤、ちょっとしぃーっだよ。和がもしもししてるからね。」
後ろから手を回しお腹の辺りをゆっくり擦りながら耳元で大丈夫だよーって繰り返してやると、少しは落ち着いてきたかな。
和「今なら大丈夫そう、ちゃんと呼吸音聴けそうだわ。」
チェストピースを握っている手は子どもの手みたい。
まさか呼吸器のベテランドクターの手には到底見えないな。
和の聴診て本当に丁寧だなぁっていつも感心する。
結構内科の先生とかって２，３箇所当ててはい終わり、大丈夫ですっていうドクター多いのに。
和「潤、ちょっと大きく吸ってー吐いてーってできる？」
声かけながらしないとついつい普通の呼吸になっちゃうからね。
「大きく口からすーはーだよ、潤。ほら、すーーーはーーーっ。」
少し大げさに深呼吸すると一緒に真似て頑張って吸ってー吐いてーてしてる潤。
こういう素直な潤、可愛いよなー。思わず頭くしゃくしゃってしちゃった。
和「はーいよくできました。今のところ肺の音も気管支の音も綺麗だから心配なさそう。熱のせいか若干心拍速いのがきになるかなぁ。ちょっとだけリズムも怪しいけど、熱と過労だったらこんなもんかな。うーん、どうだろう。」
そういう和の表情は少し心配そうで。
「脈飛んでるってこと？」
和「うーん、飛ぶっていうか乱れることがあるって感じかな。明日になっても気になるようならちょっと救急でモニターしてあげてくれる？呼吸器の処置室でも良いけど。」
お腹をなでなでしてた手を潤の両手首に移し脈を診る。
確かにちょっとせっかちな感じで速いかなー。と思ったら、トトトッと連打した。
「ほんとだ。リンゲルあったっけ？電解質のバランス悪いのかも。それで様子見ようか。潤、胸のあたり苦しかったり変な感じしない？」
潤「くぅ〜。んんー。」
まったく返事になってないよ...
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
