風邪(和)7 ページ39
智サイド
午後からは病棟だから少し時間に融通も効く。
和どうしてるかなーと思い救急まで様子を見にいくことに。
センターに足を踏み入れるとてきぱきと動いてる翔の姿が目に入った。
センターに誰かが入ってくるとすぐに気づくのか翔がこちらを向いたので手をあげる。
そばにいたスタッフに何か指示を出してはめていたグローブをゴミ箱に捨ててこちらに向いて歩いてくる。
翔「おつかれさまー智兄。和の様子見に来てくれたの？ありがとねー。朝、点滴はじめてから一回目覚まして一緒に自動販売機まで飲み物買いに行ったの、抱っこして。しっかり飲めてたよ。」
嬉しそうに話す翔。抱っこしてよく院内歩いたよね、まあ和が可愛いのは事実なんだけどやっぱり大人の男性が大人の男性を抱っこするっていう図...普通の人から見たらびっくりすると思うよ。
「今は寝てる？」
翔「そのはず。ちょっと救急搬送でバタバタしてたから様子見れてないけどナースコールもしてないし、スタッフが1時間置きに覗いてくれてるから多分大丈夫だと思うよ。今、ちょうど時間あるし一緒に行くわ。」
そう言ってスタスタ歩きだすので慌てて翔の後を追いかける。
カーテンをそっと開けるとタオルケットに包まった和がベッドで丸まっていた。
ふふふ、やっぱり可愛い。
近くに寄って顔を覗くと目を開けていた。
「起きてたの和？」
翔「え？起きてる？」
翔もびっくりしてベッドサイドに近づいてきた。
和「和くん、ひとりぽっち...」
そういうと涙がみるみるうちに溜まって溢れそうになってる。
「あらら、1人で寂しかったの和？智兄に連絡くれたら良かったのにー。」
そう言って頭をなでると手を差し出してくる。
ぎゅーっと握ってやると少しだけ笑顔を見せてくれた。
和「ひとりぽっち、やだ...」
「もうひとりぼっちじゃないよ。翔も来てくれたでしょー。」
翔「かずー、ナースコール押してくれて良かったのにー。喉の痛い痛いはどう？咳コンコンも大丈夫？」
和「翔にぃ、忙しいもん。」
和ったら自分も高熱出してる扁桃腺炎の患者さんなのに遠慮しちゃって。
本当に気使いなんだから。
翔「遠慮してたのぉ？和も患者さんなんだよ？しんどかったり辛かったら呼んでくれて良いのにー。」
和「寂しいのは？」
確かに、寂しいっていう理由でナースコールする救急の患者さんはあんまりいないだろうな...
翔「和だったら良いよー。じゃちょっと喉見せてね。背中立てるよー。はい、あーん。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
