風邪(和)5 ページ37
和サイド
やだもん、やだ、やだ、やだ。
ベッドの上でできるだけ小さく丸まってタオルケットすっぽりかぶってやった。
こうしてれば点滴しないでも絶対すぐに元気になるもん。
翔「かーずー、いつまでそうしてるのーー。お熱下がらないよー。それに水分どんどん失われてしんどくなっちゃうよー。一瞬だけでしょ？チクってするのー。ほーら、お手手貸しなさい。」
諦めの悪い翔兄がずっと話しかけてくる。
ベッドに腰掛けて背中ポンポンしながら手を出せってさっきからずーーーっと。
「寝るのぉ〜、和くん、寝んねするんだから、あっち行ってよぉ。ゴホゴホゴホ、ゲッホン..」
やべぇ、咳まで本格的になってきた...
翔「咳も出てきてるぞー。早くしないとどんどん酷くなるねー和。今日病院にお泊りするの？夕方に智兄がお迎えに来てくれるって言ってたのに一緒にお家帰れないねー。」
それはやだ..そんなの絶対にやだ。病院にお泊りなんて絶対に絶対にやだぁぁ。
そう思ってタオルケット鼻くらいまで下げるとにっこり笑った翔兄と目があった。
翔「やっと出てきてくれた和。はい、じゃ翔兄にお手手貸して。」
言われるがままに左手を差し出す。
翔「右手の方が良いでしょ、点滴するの。反対のお手手貸して。ふふふ。可愛いお手手だねー。」
代わりに差し出した右手を握ってくる。
「痛くしたらやだ...ゲホ、ゲホゲホ、ゴッホゴッホ。」
話すと咳止まんないや。
翔兄の大きな手が背中をゆっくり上下してる。
翔「咳出てきたねー和。胸苦しくなーい？ちょっと背中もしもしするよー。」
タオルケットを捲り上げられてシャツも捲くられてその隙間から翔兄の手が入ってきた。
俺の体が熱いせいか冷たく感じてビクってしちゃった。
翔「ごめん、手冷たかった？てか和の身体が熱いんだよー。お熱上がってきちゃったかな。はい、じゃスーハーってしてね。ゆっくりで良いからね。」
一呼吸ずつ聴診器を持った翔兄の手が移動する。
ゲッホゲホ..咳が出るたびに背中を撫で撫でってしてくれる翔兄。
翔「はい、もう1回だけ頑張ってスーハーして和。はーい、よくできました。良い子良い子。咳出てるわりに呼吸音悪くないね。でも喘息出たら困るから吸入だけしておこうね。」
「や..苦いんだもん、やーよ。」
翔「だーめ、後から苦しくなったら困るから。はい、じゃ点滴の針刺すね。痛いの止めてくれるお薬とばい菌やっつけてくれるお薬入れようね。」
鎮痛剤と抗生剤って言えば良いのに。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
