風邪(和)1 ページ33
翔サイド
鎮痛剤を点滴で落としたおかげで朝までゆっくり眠れた様子のA。
「おはよーA。顔色も良いねー。お腹痛いはどう？まだ痛みあるようなら鎮痛剤追加できるから教えてね。」
すっかり元気そうな顔をしてるAを見て心から安心できた。
で、問題なのは隣のベッドに腰をかけて足をプランプランさせている和。
さっきから、んんっ、ケッホ、んんんっと喉が痛いのか違和感があるのか咳払いばかりしている。
寝癖のついた髪がところどころぴょこぴょこ跳ねている。
和の目の前に立っておでこに触れるとびっくりしたのか身体を仰け反らせてそのまま後ろ向きに倒れそうになった。
「そんなにびっくりしないでも。」
慌てて肩を掴んで支えてやる。
「あーん、して。」
和「やだ...」
いきなり全拒否...
いやっていうことは自覚あるってことだよなぁー。
「なんでやなの？熱はないみたいだけど、喉痛いんじゃないの？はい、あーーーん。」
もう一度大きな声で言ってみるけど、余計に唇をギュと結んで上目遣いで見つめてくる。
どうやったら可愛く見えるのか本当によくわかってるんだから、和は。
「はいはい、和くんは可愛いなぁー。可愛いのわかったからお口あーんして。しないなら先にもしもししちゃおうか、ね？」
そう言って服に手をかけると慌てて子供みたいな手で服の裾を押さえ込んだ。
A「和兄どうしたの？具合悪いの？」
隣のベッドのAが心配してるぞー和。
和「何ともないよーA。心配してくれてありがとうねー。ケホケホ、ん、んんっ...」
やっぱり喉変なんじゃない。素直に口あければ良いのに。
「ケホケホしてるし喉もなんかひっかっかってそうだけど？ほら、あーんするだけでしょ？」
少しかがんで目の高さを同じくらいにして話しかける。
ほっぺたを少し膨らませて意地でも口は開けませんって意思表示している和。
時々咳が出るのか小さい上半身が揺れている。
山「おはよーA。お腹の具合はどうかなぁ？」
カーテンを開けて山下が入ってきた。
「Aは調子良さそうだよ。念のため一通り診てあげてね。」
山下がAを診ている間に俺もちゃっちゃとこの可愛い子ちゃん診ちゃわないと。
山「わかりましたー。じゃAお腹診せてくれる？痛みはましになってるかな？」
「ほら和も喉診せてくれる？」
鼻をつまむと息苦しくなったのかプハーっと口を開けた。
その一瞬に舌圧子を滑り込ませることに成功。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
