脳震盪10 ページ31
雅サイド
「どしたA？」
眠ってたはずのAがベッドの中でモゾモゾ動いている。
翔「おーい、Aの様子はどんな感じ？」
ちょうどトモ君と翔兄がカーテンを開けて入ってきた。後の3人は椅子に座った状態やら空いてるストレッチャーの上やらで眠っている。
まあ夜中の2時半だからね...
「なんか今ね、目覚ましたみたい。痛み出てきちゃったかな。A？どこか痛いところある？」
トモ君が枕元の灯りをつけた。
身体を丸めてるみたいだ。
翔「A、大丈夫？山下も来てくれたよ。どした？」
優しい声で翔兄が話しかけている。
A「お腹、痛い...」
あらら、打ったところ痛み出てきたのかな。
翔「山下、エコー持ってきて。あとポータブルのレントゲンもお願い。フリーエアあったら洒落にならん。」
山「わかりました。」
「A、ちょっと仰向けになれるかな？お腹診せてね。今日だけで何回Aのお腹触ったかな、俺。痛いところ同じところ？」
翔「どこに痛み訴えたの？」
「右側腹部と右季肋部。打ちつけて赤くなってたの。でも触診では問題なかったよ、多少の圧痛はあるけど堅くなってなかったし。まあ打身って感じだった。」
翔「A体動かすよー。あんまり痛み酷いなら我慢しないで教えてよ。よいしょっと。折角寝てたのに痛いのやだねー。服も捲くるねー。」
優しく声をかけながら手際よく診察しやすい体勢にしてくれた。
「顔色そんなに悪くないね。良かった。」
翔「脈も落ち着いてるよ。88だね、リズムも強さも問題ない。」
Aの手首にさりげなく指を3本這わせて腕時計に目を落としている翔兄。
「じゃお腹触るねーA。」
寝てる3人を起こさないようにと思うとどうしても小声でのひそひそ話しみたいになっちゃう。
下腹部からゆっくり優しく押さえてみる。少しずつ指を動かしながらAの表情も確認しながら。
赤くなってるところに触れるのは気が引けるけど...
なるべく優しく触ったつもりだけど
A「い、痛いっ！」
小さく悲鳴をあげたA。
「ごめんごめん、痛かったね。」
もう少しちゃんと診ておきたいなと思って、一度痛みを訴えた部位を撫でてあげてから触診を再開する。
翔「どんな感じ？デファンスは？」
「大丈夫そうだけどなー。多分打身で痛いんだと思う。内臓損傷はしてないと感じだよ。」
そこにエコーとポータブルを持ってトモ君が戻ってきた。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
