脳震盪6 ページ27
雅サイド
久しぶりの診察だから恥ずかしがってるのかな。
でもだからってじゃいいよで済ますわけにもいかないし。
なんと言ってもエスカレーターの将棋倒し事故に巻き込まれて腹部も打ったみたいだし、現場で数分意識失ってたっていうからね。
「ほーら、すぐだから。お腹ちょっと見るよー。動かないでね。」
A「大丈夫なのにぃ。」
口を尖がらせてご機嫌斜めなA。
服を捲くってみると右脇腹に打身ができている。赤くなって少しだけ腫れてるかな。
和「赤くなってるね。エコーしなくて大丈夫なの？」
内科医の和兄から見たら腹部の損傷って怖いよね。
中で出血してたらどうしようって。
「とりあえず触った感じでどうするか決めるよ。今、触らなくても痛いところあるA？」
A「大丈夫。動いたらちょっとだけお腹痛いだけ...」
「わかった。じゃちょっと触るよー。あんまり痛かったら我慢しないで教えてね。」
Aの表情と触診の位置を見ながらゆっくりと優しくお腹に触れる。
「この辺は大丈夫？」
下腹部に触れながら聞く。
A「うん、痛くないよ。」
和兄は心配そうな顔をしながらAの頭をなでている。
智兄は俺の手元を真剣に見つめている。
消化器のドクターだからAの腹部と俺の指先見ながらその下にある臓器のこと考えてるんだろうね。
A「あいたたた、そこは痛いよー。」
赤くなってる辺りを少し押さえると痛みを訴える。
「ごめんごめん、痛かったね。少し触れるだけでも痛い？」
A「うん。赤くなってるもん、痛いよ...」
「堅くなってないから内臓は大丈夫だと思うけどな。」
智「バイタルもずっと安定してるし顔色も悪くないしね。」
和「でも痛がってるよ。」
智「まあぶつけたわけだから多少は痛みを伴うよ。見た目も痛そうだしね。」
「まあ気になるならエコーしても良いけど俺は様子見で大丈夫だと思う。もうちょっとだけ触らせてねA。」
まあ大丈夫だろうけど念のため肝損傷してないか右上腹部と右季肋部を押さえてみる。
「はい、大丈夫でしょう。念のため安静にしててよ。お腹痛くなってきたから我慢しないですぐに教えてね、A。」
A「うん。でも本当にもう大丈夫だからお家帰りたいー。」
和「潤ももうすぐ来てくれるし今日は皆で病院にお泊りだよA。」
えーーと言いながらほっぺたを膨らませてる顔が可愛い。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
