脳震盪5 ページ26
和サイド
救急からAが駅でのエスカレーター事故に巻き込まれたって連絡が来た。
あまりにも驚いて詳しいことを聞く前に電話を切ってしまった...
頭の中ではものすごい重傷なAの姿ばかりが浮かぶ。
院内を走って救急に向かっていると智兄の後ろ姿が見えた。
なんで走ってないの？
「智にぃ〜っ。Aが事故に巻き込まれて大変なことになってるってーー。」
声が大きすぎたのかびっくりしてこっちを振り向く。
智「大変なことになってるの？僕は意識もちゃんとあるって聞いたけど。ちょっと脳震盪みたいな症状と腹部の痛みを訴えてるけど雅が診てくれてるっていうし。」
「え？あ？そうなの？てっきり意識不明の重体かと思った。」
智「ちゃんと聞かないで電話切ったんでしょー。もう慌てすぎなんだから。こういう時こそ冷静にならないと。ほら、落ち着いて。一緒に歩いて行こうね、院内走ったらダメだよ、和。」
智兄に言われて少し落ち着きを取り戻すことができた。
救急に足を踏み入れると雅の声が聞こえてきたのですぐにどこにいるかわかった。
雅「ほーら、お腹診せなさいA。なんで嫌なのー。そんなに恥ずかしがることじゃないでしょー。ちゃんと見ないとわからないんだからっ。ほら服捲くって。打ち身できてたり内出血してたりするかもしれないから見せなさい。」
珍しく悪戦苦闘してる。
「A、雅のいうことちゃんと聞かないとだめでしょー。翔兄もトモ君も学会で留守なんだからー。お腹どうしたの、雅？」
雅「Aによると、上から何人かが倒れてきて下敷きになったみたい。まあこれだけ話せてイヤイヤできるなら腹腔内出血はしてなさそうだけど、じわじわ出血してたら数日後に大変なことになったりするからちゃんと見て確認しておきたいのに。ぜーんぜんだめだわ。」
智「じゃ智兄にお腹見せてくれる？」
A「やだぁー。もう大丈夫だからお家帰るの。潤兄のご飯食べたいーーっ。もう平気だからぁー、これも外してーー。」
念のために確保してる点滴ラインも取れとわがままな姫。
「だーめ、明日の朝まではお家帰れないよA。それにちゃんとお腹診て貰わないといつまで経っても病院にいることになるぞー。」
A「いじわるぅ〜。もうわかったもん。はい、これで良いでしょ。」
そう言ってちょろっとだけ服を捲くったA。
イヤイヤ、腹部全体見えないと意味ないって...
診察されるの久しぶりで照れくさいのかな。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
