脳震盪2 ページ23
Aサイド
今日はトモ君が学会出席でいないからお兄ちゃん家にお泊り。
久しぶりだなー。
潤兄の美味しいご飯が食べれると思うとわくわくしちゃう。
仕事帰りの足取りも軽くあっという間に駅に着いた。
幸せなルンルン気分に浸ってたのもエスカレーターに乗るまでだった。
いつもは階段を使うんだけど、電車の発車時間がすぐだったのでエスカレーターを早足で上っていた。
突然、悲鳴が聞こえたと思ったら、数人前の人がこっちに向かって落ちてくる。
うわ、危ないっ！と思ってよけようとしたんだけどあっという間のことで事故に巻きこまれてしまった。
気がついたときには誰かに肩を叩かれていた。
救「聞こえますかぁー。わかりますかー？」
耳元で大きな声が何度か響く。
ん？誰？何？
知らない人の声だ。
救「大丈夫ですかー？わかりますかー？聞こえたら手を握るか目を開けてください。」
そういえば誰かが手を握っている感触がある。
でも知らない人の手。
段々周りのザワザワした音、バタバタとした雑踏感が伝わってくる。
それと同時に身体のあちこちが痛い。
アイタタタタ。
冷たいコンクリートの感触がする。身体を起こそうとする。
救「動かないでくださいね。エスカレーターから転落したんです。数名の下敷きになってた様子ですし頭部を打ってる可能性が大きいのでこのまま病院に搬送しますね。今痛いところありますか？」
エスカレーターから落ちたんだ。
だからか、あちこち痛いのは。
でも早くお家帰らないと潤兄が心配しちゃう。
8時前には帰るからねって伝えたのに。
こんなところで寝転がってる場合じゃない。
もう一度身体を起こそうとすると肩を押さえられた。
救「しばらくじっとしていてくださいね。すぐに病院に搬送しますから。お名前言えますか？」
優しい声が耳元で響く。
「あのぉ、家、家に帰らないと。電車、行っちゃう。家に帰る途中なんです。電車。」
救「ご家族にはこちらから連絡しますので大丈夫ですよ。お名前言えますか？」
「おうちに帰らないと...」
名前を聞かれてるのに何故か何度も家に帰るとばかり繰り返してしまう。
仰向けになってるのが辛くて横を向こうと身体を動かそうとするとまた押さえられて制された。
んんん...お腹打ったのかな。ズキンズキンする。
まあお腹だけじゃなくてあっちもこっちもズキズキするんだけど..
「お腹、お腹..」
救「お腹痛みますか？もうすぐにストレッチャー来るので大丈夫ですよ。」
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
