喘息(和)4 ページ16
翔サイド
良い気持ちで風呂の中で歌っていると潤の大きな声が聞こえてきた。
和が喘息の発作を出してるらしい。
大急ぎでボディーシャンプーを流して脱衣所に出る。
「じゅーーん、吸入とりあえず吸わせてーー。ベントリンあるはず。スペーサー使ってよー。」
リビングまで届く大きな声で話しかけながら、とりあえずパンツだけ履く。
慌ててリビングに入るとソファに浅く腰掛けて苦しそうに肩で呼吸をしている和と隣に座って背中をさすってあげてる潤がいた。
「ベントリンは？」
潤「吸入したみたいなの。ベッドサイドにシムビコート置いてあった。」
「そうなの？何回吸ったの和？」
ヒューヒュー音を立てながら、左手の指を3本立てる。
3回したけどこの状態なの？
「潤、車出してきて。病院連れて行くわ。点滴で気管支拡張剤入れてあげたほうが良さそう。和、病院行こうね。」
首を横にブンブン振って病院はやだって訴える和。
でもこの状態で吸入してもあまり改善も望めなさそうだもん。
「点滴したらすごい楽になるからね。すぐ病院行こうな。大丈夫大丈夫。ほら抱っこしてあげるからこっちおいで。」
車を取りに潤が行ってくれてる間に和を説得しなくちゃ。
ソファの前にかがんで両手を広げるとすっぽりと腕の中におさまった。
和「ゲホゲホゲッホ...ヒューヒュー...」
「よしよし、しんどいなぁ和。もうちょっと頑張ってよ。」
両手でしっかりと抱きしめて立ち上がる。
戸棚から聴診器だけ取り出して首にかけ、和の背中をさすってやる。
玄関を開けると後部座席のドアを開けて潤が待っててくれた。
「お待たせ。帰ってきてすぐなのにまた病院に付き合わせちゃうね、潤。」
潤「そんなん全然構わないよ。早く連れてってあげなくちゃ。」
俺たちが座ったのを確認してドアを閉めて急ぎ足で運転席につく潤。
頼りになる末っ子だね。
「和、ちょっともしもししようなー。そのままで良いから背中だけちょっと捲くるよ。」
Tシャツを少し捲くって聴診器を背中に当てる。
右も左も両肺からヒューヒューゼェゼェと呼吸のたびに聞こえてくる。
久しぶりの喘息の発作だな。最近調子良かったのに。
夕食のときからやっぱり具合悪かったんだろうね。
自分でも気づいてたから吸入して寝たってことか。
「大丈夫だよー。もうちょっと頑張ろうなぁ。」
とりあえず声をかけながら背中をさすってやることくらいしかできない俺。
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作者名：ルパン
| 作成日時：2014年7月7日 21時
